名バイヤー2人に聞く美の目利きの神髄 民藝とモダンデザインをつなぐ思考
曽田雄志のクリエーティブ紀行 vol.1
アート思考JR高円寺駅からアーケード街を歩くこと5分。エスニック料理店やバー、青果店などが集まる中央線カルチャーが漂う路地に「MOGI Folk Art」はある。カリブ海のジャマイカにルーツのある英国人のテリー・エリスさんと日本人の北村恵子さんが2人で営むこの店には、食器、セーター、ジャケット、靴など、ルーツもバックグラウンドも異なる数々のモノが調和して共存している。2人はセレクトショップ「ビームス」の名バイヤーとしてロンドンを拠点に欧州の品を日本に紹介し続けてきた希代の目利き。そして、近年の「民藝」人気の立役者でもある。そんな2人に「異なるものをミックスさせる」「美しいものを見いだす」というクリエーティブ思考について聞いた。
誰かのふりをしたくなかった
もともと俳優志望だったエリスさんがロンドンで始めた小さなショップを訪れたときの衝撃を、北村さんは昨日のことのように語る。「確か1985年のことです。一つの店の中に、ジャン・ポール・ゴルチエがあって、ポール・スミスがあって、ジョン・スメドレーも、ドクターマーティンもあるという、日本では見たことのないユニークなお店でした」
テリー・エリスさん
現在は様々なブランドが並ぶセレクトショップは珍しくないが、当時の日本では、一つの店には一つのブランドというスタイルがほとんど。世界観の異なるブランドの品が同じ店の中にミックスされて収まっていること自体、北村さんの目には事件として映ったのだ。
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