原形をとどめないほど大胆にエアロパーツを装着し、ピンクやパープルに塗装したバンで陽気に街を駆け抜ける……昭和後期には、そんなヤンチャな車遊びがあったという。

「ジャパンキャンピングカーショー2025」でひときわ目を引いていた「かーいんてりあ高橋」社の「Fusion」。

同社が創業当時に製作していた、昭和のバニングカーを現代によみがえらせたという1台で、中はキラッキラのシャンデリアに、真っ赤な総モケットのラウンジソファ! 「え? これネタ? 本当に売ってるの!?」と驚愕する異色のキャンピングカーをご紹介したい。


・かーいんてりあ高橋「Fusion」

ベースとなっているのはハイエースのキャンパー特装車。スーパーロングに近いサイズ感だ。カラーもグラフィックもとにかく目立つ!


大きく開いたリヤゲートから中を見ると、壁から天井まですべてふかふかモケットのトリム! こんな加工、見たことない!! 深い光沢のある、高級感あふれる生地は、劇場などの座席でもお馴染み。

普通は窓がある部分までカバーされているので圧迫感があるかと思いきや、会員制ラウンジのようなおこもり感。


天井を見上げれば、さんぜんと輝くシャンデリア! よくキャンピングカーの内装を表現するのに「まるでホテル」なんて言葉を使うが、今はホテルでも見ないような「ザ・昭和」なゴージャスなインテリアデザイン。まぶしい!!


キャンピングカーとしての機能はしっかり搭載。就寝時にはソファがベッドになり、大人3名が就寝可能。TVも備えている。


エントランスから後方を見たところ。この木製の間仕切りがまた昭和っぽい!

決して「スタイリッシュ」とか「アーティスティック」とかではないのだが、ものすごく魅力的だ。若い世代に「ネオ昭和」がブームとも言われてきたが、愛すべき野暮ったさ(褒め言葉)がここにはある!

豪華なもの、先端のもの、西洋風のものを素直に「よいもの」と受け取る当時の価値観が、今かえって新鮮に感じられるのだろう。



ダンスフロアのように間接照明に照らされた床はチェック柄で、ここでもキャンピングカーの「定石」を裏切ってくれる。


ギャレー家具は大理石風。キャビネットの扉までモケットが張られていることに注目! レトロで可愛らしい。

水道、冷蔵庫、サブバッテリーなどの装備はひととおり揃えている。ビジュアルはクラシカルなのに、実は最新式の快適装備を搭載しているのがFusionだ。


オプションとなることの多いソーラーパネルや冷暖房も最初から備えており、フル装備のハイエンドなモデルとなっている。電源は長寿命・小型・軽量のリチウムイオンバッテリーを採用。インバーターも1500Wのハイパワーなものだ。今日にでも車中泊が可能な装備で、キャンピングカーとしてのスペックは申し分ない。



・本当に受注中

コンセプトカーなどではなく実際に販売しており、展示車の参考価格は税込13,200,000円。誰もが「よし買った!」とはいかないが、「キャンピングカーってここまでできる!」という可能性を体現した夢のある1台だ。

あなただけの理想のナイトクラブ、いかがだろうか。


参考リンク:有限会社かーいんてりあ高橋
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.