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アリーナ・キングス巡る「不信」SNSで拡散 市議補選と戦略明暗<沖縄市長選 市政継承の内幕>1の続き


アリーナ・キングス巡る「不信」SNSで拡散 市議補選と戦略明暗<沖縄市長選 市政継承の内幕>1の続き 共に選挙運動を展開していた市議補選に立候補した高江洲みどり氏(左)と仲村未央氏=19日、沖縄市のコザ十字路
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

「まさか」横綱の大敗に衝撃から続く

 花城陣営は終盤にかけて、応援演説に入っていた玉城デニー知事の政治姿勢や、沖縄アリーナの構想時に革新候補が反対していたことへの批判を激化させた。SNSで一部のバスケファンの間では「沖縄アリーナ、キングスのこととか何もしてくれないんじゃないか」などとの言説が拡散。仲村未央氏への不信が広がりを見せていた。

 仲村陣営では「仲村候補自身は賛否を示していなかったはずだ。完成した事業のことをいつまで言うのか」との声もあり、強く反論する姿勢は見せなかった。

 一方の花城陣営はアリーナを生かした地域活性化策を前面に出した。沖縄アリーナで開催されたバスケワールドカップの成功も記憶に新しく、市政継承を訴え、浮動票獲得にも成功した。大差が付いたのは、自民・公明の組織力と桑江朝千夫市政を「継承」するか否かを争点化したことが奏功したとみられる。継承を掲げた花城大輔氏の陣営の総決起大会は2000人以上(主催者発表)。革新陣営の選挙集会では見られない人数だ。

 仲村氏の支援勢力の関係者は「政党間連携が弱いとか選対本部の戦略ミスが要因ではない。支持基盤の退潮が大きい」と声を落とした。

 2万2801票と2万7518票―。市長選に立候補し落選した仲村氏と、同日の市議補選にセット戦術で立候補して当選した高江洲みどり氏それぞれの得票数だ。仲村氏は高江洲氏よりも得票できなかった。

 仲村氏は終盤まで政治的な立場を明確にしない戦略で無党派、浮動層の浸透を目指す選挙戦略を展開した一方、高江洲氏は桑江前市政時に議会で否決された給食費助成の実現を前面に掲げた。2人の明暗は分かれた。

 21日の総決起大会後、選対本部は仲村氏に演説の方法について進言した。それ以降、徐々に議場でみせたような力強い演説をするようになったが、既に選挙戦は最終盤を迎えていた。

 (’25沖縄市長選取材班)