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『御曹司に恋はムズすぎる』永瀬廉を鑑賞するためだけのドラマ?設定もタイトルも既視感ありまくりだが、Z世代の若い女性はのめり込めるかも
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永瀬廉
原作のないオリジナルストーリーとのことだが、設定もタイトルも既視感ありまくりなのが気になるところ……。
King & Princeの永瀬廉が主演、元・乃木坂46の山下美月がヒロインを務める『御曹司に恋はムズすぎる』(フジテレビ系)。1月7日(火)に第1話が放送された。
現役アイドルと元アイドルによるラブコメドラマなので、おのずとターゲット層は彼・彼女のファンをメインにしているのだろうから、需要に対しての供給という意味で成立しているのはわかる。
だが率直に言うなら、ファンではない筆者のようなドラマ好きからすると、箸にも棒にもかからないような内容だと感じた。
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■超わがまま御曹司が庶民派女性に恋をする物語
主人公・天堂昴(永瀬)は総資産3000億円というアパレルメーカーの御曹司。会長である祖父に甘やかされて育ったため世間知らずで、傲慢・自己中な欠陥だらけの性格をしたボンボンだ。
経営センスもなく、祖父に多額の出資をしてもらって立ち上げた会社を、すでに2社も潰していた。さすがに見かねた祖父が自社にコネ入社させ、新社会人としてリスタートさせるところから物語は始まる。
セレブ気分が抜けないまま新入社員研修会に参加した際、教育係の花倉まどか(山下)から、TPOをわきまえないハイブランド服を着ていたことを「ダサい」と指摘され、反発。
怒られた経験がほとんどなかった昴はまどかにいら立ちを募らせるが、引っ越してきた古びた社員寮の部屋のお隣さんがまどかで――という展開。
今夜放送の第2話以降では、そんな超わがまま御曹司・昴が、庶民派・まどかに恋をして、人間としても成長していくというストーリーのようだ。
■オリジナル感が薄く、あまりにベタで古典すぎ
まず、セレブ男性と庶民女性の恋愛を描くのは、『花より男子』(2005年/TBS系)、『リッチマン、プアウーマン』(2012年/フジテレビ系)、『プロミス・シンデレラ』(2021年/TBS系)など、定期的に放送されているドラマの定番設定。
また、『御曹司に恋はムズすぎる』という作品名は、実写映画『ヲタクに恋は難しい』(2020年)、ドラマ『忍者に結婚は難しい』(2023年/フジテレビ系)といった、近年によく見かける構文を採用している。
そんなこんなで、オリジナルストーリーにもかかわらず、オリジナル感が薄いのは否めない。
実際、第一印象が最悪だった者同士がお隣さんになって惹かれあうというストーリーに、手垢がつきまくっているのは言わずもがな。学園もののラブコメで、登校中に曲がり角でぶつかった相手が同じクラスで隣の席という古典的展開があるが、まさしくそれの社会人版である。
ほかにも第1話ラストで、まどかが足をすべらせたところを昴が助けに入り抱きかかえて、そのままキスしようとするという流れも、あまりにベタで古典すぎた。
■普遍的で需要のあるストーリーという捉え方も
余談だが、昴にキスされそうになったまどかは抵抗して逃れるのだが、ご時世的に視聴していて「性加害」「不同意」というワードが頭をよぎってしまった。
ドラマのなかだからまだギリギリ許されるのかもしれないが、もし現実で同じことをしたら訴えられても文句は言えない。「壁ドン」や「顎クイ」といった定番ムーブももはや現実社会ではアウトだろうから、近い将来、ラブコメの表現にかなり制限がかかってくるかもしれない。
さて、今夜、第2話が放送される。
作品のプロットもタイトルも既視感があるし、中身もパッチワークのようにどこかで見たことのあるシーンをはぎ合わせているだけだし、さまざまなドラマや映画を観てきた人ほど、げんなりしてしまうに違いない。
“ファンが永瀬廉と山下美月を鑑賞するためのドラマ”、それ以上でもそれ以下でもないような気がする。
ただ、擁護するなら、普遍的で需要のあるストーリーという捉え方もできるし、永瀬廉や山下美月のファンがこれまでに似たようなラブコメ作品を観たことがなければ、新鮮に楽しめることだろう。
特に永瀬のファンは、過去の類似作を知らないであろうZ世代の若い女性が多いので、純粋にのめり込めるかもしれない。