伯爵令嬢のローザリアは幼いころから、
隣りの領地を治める伯爵家の兄弟、
オズモンドとサイラスと仲よくしていた。
オズモンドと同様に将来は領主となる、
ひとり娘のローザリアは8歳を迎えると、
同い年の弟、サイラスとの婚約が決められた。
貴族学院へ入って13歳になると、
ローザリアとサイラスは幼なじみの関係のまま、
仲よく時を過ごしてゆく。
サイラスからまったく女性として
意識されていないと感じているローザリアは、
ある日彼と友人との会話から婚約者として
しかたなくつきあってくれているのだとわかり、
ショックを受ける。
落ちこみ、しばらくサイラスに会いたくないと思う
ローザリアだが、なんとか気持ちを立てなおす。
正直に打ち明けてくれれば
サイラスを解放したいと思う反面、
なかなか一歩が踏み出せずにいた。
何もなかったように、
ふたり揃っての毎日の登校は続けられ、
回数こそ減ったものの、
お茶会や休日の外出は続けられた。
そんなある日、
街なかでサイラスが平民らしき女性と
一緒にいるところを見てしまい、
どろっとした黒いものが
気持ちを支配するのを感じてしまう。
サイラスから愛の言葉も、
スキンシップもないことに思い悩むローザリアは、
街で再び同じ女性といる彼を目撃して
やはりと思う反面、
別れを決意するのがよいのか迷い、
オズモンドに相談する。
かつてローザリアへ好意を抱き、
お互いに嫡子であるために、
密かに思いへ蓋をしたオズモンドは、
サイラスが彼女の言うとおりだったら、
本気で殴りつけようと考えていた。
オズモンドはサイラスがいない休日に、
ローザリアをお茶に招き、
サイラスが帰宅するタイミングで彼女を帰らせて
屋敷内ですれ違わせる作戦を実行する。
目論みどおりに事は運び、
サイラスは帰宅しようとする
ローザリアの馬車に強引に乗りこむと、
真摯に彼女への愛を訴え、
街でいっしょにいた女性は
窮地を救っただけだと説明する。
裕福な伯爵家のひとり娘で、
学院では特進クラスに所属。
かわいらしい外見で、
金髪にぱっちりとした目もとをもつ。
学院入学後は凛とした美しさと、
貴族らしさを備えるようになった。
負けず嫌いでしっかりしており、
幼少期はお転婆で剣術も学ぶ一方、ダンスも好む。
伯爵家の次男。
容姿端麗で、紺色の髪と金色の瞳をもつ。
活発な性格だが、
ローザリアには紳士的に接する。
ややヘタレなところもあるが、自覚はない。
初恋の相手であるローザリアとは
学院入学後はほぼ常に一緒にいる間柄に。
時を同じくして彼女を異性として意識していたが、
なかなか言葉や態度に出せず、
ローザリアを不安にしていることに
気づいていない。