前回よりも格段に良い品が一つありました。パンもスイーツも前回よりとても良いです。 : arkua

仙台にはお値段が本当に良心的なお店があります。
お腹もいっぱいいっぱい(個人的には若干多いです)、
クオリテイーもよく、上質のジュース2杯をいただいて、
お値段ほぼほぼ1万円。今時、なかなかないお店かと
思います。前回よりもデザートに気合が入っており、とても良かったです。
CPがとても良いので、お客様もかなり入っていらして、
お店に活気も出てきて、以前に感じた陰の部分は
気にならなくはなりました。

一品一品に手をかけていますので、やむを得ない部分は
ありますが、お魚、お肉、もう少し、温かいお料理がいただけるとありがたい
(マイレビ様のご指摘もあり)のですが、
お料理が冷めない器具もありますので、そこのところが改善されると
さらに良くなるとは感じました。ナクレ様ではお魚、お肉の温度が低いとは
感じたことは今までありませんので、ここは改善していただきたいとは
感じました。

お値打ちな価格設定ですので、
不満に感じる方はほとんどいないだろうと感じました。
お料理に対する、内に秘めた情熱も今回は強く感じました。

母国語が日本語でないと思われる方のご説明を受けた場合は、
ほとんど聞き取れませんでしたが、感じたことを述べます。
また、日本人のスタッフ様も細かい部分がほとんどわかっておらず、
お店の全ての人全員が全て細部まで理解しているドンブラボー様とは
違いました。そんな自明なことは聞いてないんだけどなあと
思うこともありました。

(0) 柑橘のカクテル：

苦い味が結構目立ちますが、全体的に上質な感じで
好印象です。

(1) アミューズ3種:

(a) アスパラと説明されたと思いますが、きゅうりじゃないかなとは
感じました。フロマージュブランで合えてあります。

(b) 鯖と聞こえましたが、サンマをくるりと巻いてあります。
名古屋の和食店でサンマ半開きを串に巻いたものをいただいたことが
ありますが、それの小さいバージョンでした。サンマをくるりと巻くと、
開きでいただいたものとは全然違った味で美味しく感じるのは不思議です。

(c) 卵黄を乾燥させたのでしょうか、わかりませんが、
外側の小麦粉の生地と中のなめこで美味しく感じました。

今回も期待できそうだと感じました。


(2) 前菜

フルーツトマトが一番下にあり、その上にカツオのタルタルが
あり、上の泡状のものは失念しました、というより、ご説明が
ほとんど聞き取れませんでした。説明にはなかったですが、ピンクペッパーも
中に入っていたかと思います。メモには赤紫蘇、生姜、シェリービネガーと
書いてありますが、よくわかりません。すいません。

(3) パン(2種類)

最初は強力粉のパンだと思います(全粒粉少し入っている？と思ったほどでした)が、
旨味が心地よく、非常に良いものでした。バターをつけて
食べるとバターを美味しくするようなパンで、甘旨味を
感じて、私の作るパンドカンパーニュの方向性と似ています。
食事パンとして、目立ちすぎず、旨味もあり、非常に好印象を持ちました。
もう一つの全粒粉入りのパンも同じ傾向ですが、全粒粉の味が加わるので、
味が最初のパンよりもあります。バターをつけると、このパンも同じく、
バターを美味しくするようなパンでした。ただし、失礼ながら、自作の焼き立ての
パンドカンパーニュには及びません。しかし、パンは格段によくなりました。

(4) 前菜2

玉ねぎを低温調理したもので、玉ねぎの自然な甘味が引き出されております。
ナクレ様の低温調理の玉ねぎほどインパクトはありませんが、きちっと
した味の主張があります。下は春菊と蛤の出汁のソースと発酵バターのソースですが、
春菊の強い苦い味が心地よく、目立ち、蛤が美味しさの支えになっております。
3種のバランスが良いと感じました。


(5) お魚

石投という魚を初めていただきました。
詳しいことはわかりませんが、3段階で火入れしているそうです。
身の弾力が初めていただく感覚で、弾くような弾力がありました。
普通のもうちょっと、柔らかいものの方が個人的には好みでした。
翌日、同じものをいただきましたが、翌日のお店の方が馴染みある火入れで
そちらの方が美味しかったです。皮目も翌日の方がパリッとしていました。
翌日のお店は本当に素晴らしかったです。


(6) お肉

鹿肉(北海道産)に赤ワインのソースとバターナッツのソース。
赤ワインソースはかなり単純な味、バターの味がかなり目立ちます。
甘酒とかを入れると甘味が出るので、もっと、良いものになると思います。
上にも書きましたが、温度帯がちょっと、低いです。温かければ、もっと、
美味しく感じるとは思います。


(7) デザート(非常に残念ながら、全体の写真撮り忘れ)

秋をイメージした、気合を感じた一品でした。
栗のブリュレ、栗とチーズのタルト、フロマージュブラン、柿のジャムという
構成だったと思います。栗のブリュレと栗とチーズ(パルメザン)のタルトの破壊力に
驚きました。特にチーズを挟んだ、ほどよい甘さの栗のタルトの
組み合わせに感銘を受けました。チーズはチェダーと感じましたが、パルメザンの
強い塩気はほとんど感じませんでした。チーズによって、別の旨味をアップしていて、
非常に美味しかったです。全品の中でこのデザートが圧倒的に美味しかったです。
後日、あるイタリアンのシェフ様とお話しさせていただいて、お料理は自信があるが、
スイーツが簡単なものしかできないとおっしゃっていましたが、
恐らくパテシエ出身でないとは感じますが、
今回いただいたものも一つ一つは正直、簡単なものだと個人的には思いますが、
これだけ、作るには時間も労力もかかっているでしょうから、
お料理に対する、その情熱はひしひしと感じました。


(8) コーヒーと小菓子


全品の中でスイーツがダントツに良かったです。
7700円でこれだけ、お料理が充実していることに
驚きます。惜しむらくはお魚とお肉がもうちょっと
温かければなあとは感じます。

仙台が良心的なお店が多いことも今回の仙台滞在でわかりました。
他地域よりも厳しい環境ではありますが、
お店が長く続くことを個人的には願っております。

マイレビ様お二人が高評価でしたので、訪問いたしました。
口コミ数が45件ですが、口コミ数の割りに3.81という高得点のお店です。

7700円のコースメニューを注文したのですが、予想を
超えた充実ぶりでした。どれもお料理の味自体はハズレがなく、
唯一、パンがそれほどでもないくらいでしたが、7700円で
量も十分で、こんなにいただけるなら満足です。
都内でしたら、ランチでも倍以上の
お値段はする内容です。食材の種類も多く、非常に手も混んでおりました。
ただ、もう少し、楽しい感じが出るとそれが、お料理にも伝わるので、
俄然良くなるかと思います。お料理は単なる物質のみを頂いている訳では
ないと個人的には思っております。作り手の愛情、情熱、喜び、厳しさ、
充実度など目に見えないものの影響は相当あると思います。
もちろん、受け手の能力がそういうものに敏感でなければ、
問題ないのかもしれませんが。

それぞれのお料理に対する簡単な感想は以下の通りです。

(1) フルーツカクテル

ベリー系の味が一番感じ、何かの旨味も感じます。
かなり、ハイレベルでこれは期待が持てそうだと感じました。

(2) アミューズ1

(a) 鯨の燻製

鯨は実に10年ぶりくらいでしょうか、仕事仲間と
低レベルなお店で鯨のベーコンを食べたとき以来ですが、
今回のものはそれとは比べようもなく、良いもので
マグロと肉の中間のような味でした。燻製の香りはそれほどでは
ありませんでした。

(b) なめことうに

中になめことウニが入っていますが、
パリッとした生地の味が相当目立ちます。
カレー味とは違いますが、中東系の雰囲気が
する面白い生地でした。ご説明にはありませんでしたが、
玉ねぎの旨味もありました。

(3) アミューズ2

即興の作品だそうです。
味的にはこの品が一番美味しく感じました。
茶豆の硬さは気になりましたが、その下にある
卵黄とトリフの相性が素晴らしく、竹炭を練り込んだ
パイ生地と良い意味で口の中がグチャグチャして、
非常に美味しく感じました。家でトリフを使った料理を
したことはありませんが、このくらい美味しいのなら、トリフも
使おうかと思うほど、美味しいものでした。
この一品は非常に印象に残りました。

(4) 前菜

鮎(蔵王産)のマリネを主としたお料理でした。それと丸くくり抜いたきゅうり、
フロマージュブラン、松の実があり、トマトを発酵させてつくたったソースで
まとめられています。この発酵感のある、酸味を帯びた
トマトのソースの味が全体に行き渡っています。
(関係ないですが、先日、マルゲリータを作った際、トマトとミニトマトで
トマトソースを作った際、その液体部分はとても甘美味いいことに衝撃を受けました。
最近の日本のトマトは本当にすごいです。それも魚介とかなり相性が良いとは感じました。)

(5) パン

見かけからして、「あっ、これはダメなパンかな」と
思いましたら、食べてみたら、意外にも味わいがあり、
よかったです。味的には乾パンの味に近い感じもしましたので、
予想は外れではなかったですが、及第点でした。


(6) 魚1

鮎の塩焼きを生地で包んでいただくことは初めての経験でした。
生地の味が初めていただく、面白い味で何とも言えない味でした。
ハーブの味も乱入してきますが、鮎の味自体は通常の味でした。
シンプルな塩焼きの方が味自体は良いとは思いますが、
そういう訳にはいかないのでしょうね。

(7) 魚2

7700円のコースで魚が二つ提供されることに驚きます。
お魚はスズキでしたが、ソースの味の方が印象に残っています。
発酵バターベースで、毛蟹や蒲鉾のすり身が入っていて、
デコポンを濾したものも入っています。
柑橘系を入れて、ソースを重くしないようにしていますが、
デコポンは初めてでした。黄色のズッキーニのスライスが入っていて、
視覚的にも黄色の味を強調しているのでしょうね。
スズキの皮目はなよっとしていました。
京都のLuca様のような皮目とは全然違いました。


(7) お肉

北海道白糠町の鹿でした。この鹿は東京のSezanne様でいただいたことがあります。
そのお肉は本当に素晴らしいものでした。当店の熟成肉と同じものの気がします。
当店は奥に鹿のロースがあり、手前に熟成肉があります。
背の方は硬いですが、力強さがあり、鹿らしい味があります。
熟成肉の方は柔らかく食べやすく、鹿の肉よりも牛の肉に近いです。
これはSezanne様でも感じました。
ソースは赤ワインベースで、チョコも使用なされたとおっしゃていました。
私にはグリーンペッパーの味がかなり強く感じたので、もう少し、
抑えていただけたらとは感じました。個人的には甘酒を使用したソースの方が
好きではあります。付け合わせにはナスのくし切りがありますが、これは結構
オリーブオイルを吸わせております。岡山の鉄板キュジーヌ長尾様でいただいた牛ロース
の脂を吸わせたナスの方が全然良いとは感じました。ビーツは普通と感じました。

(8) デザート

ご説明によると、パイナップルメレンゲアイス、ココナッツ風味ブラマンジェ、
パッションフルーツという構造です。個人的にはパッションフルーツは単体では
その独特な味が、さして美味しいとは感じませんが、このような組み合わせでは
パイナップル味に時々パッションフルーツの味が入り込んでくるような感じで、
相当美味しく感じました。ナクレ様のスイーツもハイレベルですが、当店も
しっかりスイーツに力を込めていると感じました。このスイーツも印象に残りました。


(10) コーヒー

水出しコーヒーを注文しました。初めての経験です。
まろやかな自然な味でコーヒー豆に無理をさせていないような、
スルッとしたような味でした。
飲みやすかったです。


(11) 小菓子

大体、小菓子までいただくと、糖分過多で結構いっぱい、いっぱいなるのですが、
今回はなりませんでした。グラニュー糖をお使いかどうかわかりませんでしたが、
グラニュー糖感が出ていませんでした。サツマイモのムースとサツマイモのブリュレだった
と説明を受けたと思いますが、ブリュレの方はほぼほぼ通常のクレムブリュレに感じました。
焼き菓子より、こういったクリーム系の方もありですね。


写真を見返してみても、とても7700円のデイナーの内容には思えません。
食材もきちんとしたものを使っていらっしゃりますしね。
構造はもう少し簡単でも良いので、もう少し、
お料理に元気さが漂い、クリアな味の感じを明確に出すと、
非常に素晴らしくなるだろうとは感じました。
ナクレ様のように綺麗なお料理になると良いとは感じました。
また、難しいかもしれませんが、変更可能なものは
内装も生気のあるものに変えていただけたら、とても嬉しいです。
ドライフラワー等に属するものは生き生きとした感じを感じませんので。
それを差し引いても、お料理はお値段に比して、充実しておりますので、
また、お邪魔させていただきたいとは思っております。