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ぽん多本家上野広小路、上野御徒町、御徒町/洋食、とんかつ
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昼の点数:5.0
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¥2,000~¥2,999 / 1人
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料理・味 5.0
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|サービス 4.5
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|雰囲気 4.0
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|CP 3.0
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味5.0
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| サービス4.5
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| 雰囲気4.0
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| CP3.0
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| 酒・ドリンク- ]
ピンと張り詰めた空気のなか極上のカツレツを食す
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2018/12/16 更新
ここんところスイーツやらパンやら軟弱なものばかり食べ歩いた反動でか、無性にガツンとボリュームのあるものが食べたくなった。とんかつだ。そう体が欲している。
狙いをつけてあるとんかつ屋はいくつもあるが、ちょっと今回は贅沢しちゃおうかなと。サラリーマンにとって年に2度のご褒美が今年もなんとか出たので、つい財布の紐がゆるんでしまうのであった。
土曜日。気がつくと上野駅に降り立っていた。上野界隈は和洋問わず気になる名店がひしめいている激戦区。正直、フルコンプしようと思ったらいくら時間と金があっても足りない。どうしてくれよう。
ちょっと早く着き過ぎてしまったので、上野界隈を下見がてら散策。風が強く寒くて辛いが、美味しいものにありつけるためならこんなの苦のうちには入らない。「黒船亭」「伊豆栄本店」「蓮玉庵」「厳選洋食さくらい」「とんかつ武蔵野」などいずれ攻略しようと場所だけ確認。そうこうしてるうちに、いい時間になってしまい慌ててこちらの店前へと急ぐ。
10:50の段階で先客に女性2人組。店の看板を撮ってるうちに、その後ろに数人があっという間に列をつくってしまった。皆さん常連のようで、ちゃんと開店時間を心得ておられるのだろう。と、重厚な扉が空いて店の方がおはようございますとうやうやしくお出迎え。一同ぞろぞろと吸い込まれていく。
自分はお一人様なゆえ、入ってすぐ目の前のカウンターに案内される。隣には常連とおぼしき品の良さそうな年配の方。カウンターはL字型に4席あり、間もなくすべて埋まってしまった。お給仕に来られたのは物腰の柔らかい男性、厨房に立つはやや強面の職人気質っぽい男性、すべて男手だけでまわしている。お給仕の方の凛とした身のこなし、板前さんの張りのあるよく通る声、私語や無駄な動きなど一切皆無、どことなく規律のとれたそれが女人禁制の僧坊っぽい緊張感を漂わせている。
おしぼりとほうじ茶、お品書きをいただいたのでさっそくとんかつを。。。あれ。どこにもとんかつの文字が見当たらない。が、そこはリサーチ済み。ここではとんかつと言わず敢えてカツレツと書いてあるのだった。しかも単品のみ。おそらくカツレツをアテに飲む方もいるんだろう。現に隣客もタンシチューをアテにビールをあおっておられた。粋だったな。
迷わずカツレツにご飯セットをつけて注文。ご飯、味噌汁、お新香がセットになっていてどのメニューにも組み合わせることができる。ちょっと割高だし価格設定も強気だが。
待つ間にトイレ拝借。ちょっとお目汚しになるが、トイレットペーパーではなく昔風のちり紙が丁寧に箱に入って便座の脇に置かれていた。こんなところにまでこだわっていて鳥肌が立つ。
席に戻り数分待ったところで料理到着。カツレツというだけあって身が大きい。そのカツを丁寧にひとくちサイズに切り分けてある。衣はかなり白く、低温でじっくり揚げ余熱で火を入れていることが分かる。ちなみにカツレツは1種類のみでヒレかロースかといった選択肢はなし。むしろこのほうが潔く決められるのではなかろうか。
面白いのは、卓上にソースや練りがらしなどと一緒にケチャップが置かれていたこと。もちろん置いてあるのだからカツレツにかけて食べてもいいわけだ。ならトライしてみようじゃないか。おそらくカツにケチャップをかけるのは生まれて初めての経験。ちょっとワクワクするも、恐る恐る、興味津々。
ソースはシャバシャバのウスターソース。塩は見当たらなかった。割と最近開店した新興とんかつ勢は真塩や岩塩を提案する傾向にあるようだが、そこは老舗の意地というかこだわりがあるのか。ソースというより醤油に近い感覚でカツにシャバシャバかけていただく。うん、これが美味い。元来、ソースといえばウスターを指すものだから正統派ということになる。練りがらしをちょんとつけていただく。うん、美味い。
そしてケチャップ。スーパーで売ってるハインツ製のごくありきたりのものだが、はたしてこれが吉と出るか凶と出るか。あり寄りのありだった。意外とカツにケチャップは合う。豚肉のトマト煮込み料理だってあるわけだし。ただ、口に入れた瞬間一気に口の中がアメリカンになりカツレツの文字がCUT-LETになったが。
赤出汁の味噌汁も濃厚でとっても美味しく、とくにご飯の炊き具合が抜群。自分はやや硬めに炊かれたご飯が好きなのだが、これがもうドンピシャで。カツの大きさの割にお茶碗がやや小ぶりだったこともあり、ご飯だけおかわりをいただいた。キャベ千は針金のように細く水気がない。とくにドレッシングも用意されていなかったので、シャバシャバのソースをたっぷりかけてみたが、素朴でこれもまた美味しい。散らしたパセリが色を添える。お新香はとくに白菜が美味しかった。
しかし何だろう、妙に落ち着かない。店内は相変わらずピンと張り詰めた空気で、私語なぞ問答無用といった雰囲気さえある。料理の写メを撮るのも一瞬ためらったぐらいだ。あまりにワイワイガヤガヤ騒がしいのもあれだが、ここまで静謐とした空間だとまるで僧坊での修行のようにも思えてくる。
老舗の看板は伊達ではなく、その味と伝統を守ろう守っていこうという気概も感じさせる。その甲斐あって味、ホスピタリティともに一流。独特の緊張感が非日常感を演出し、より一層美味しく感じられたのかもしれないが。食べ歩きなどと呑気なことばかり言ってると、たまにこういう店に当たって襟を正すのもまたよろしいかと。