2回
2021/10 訪問
ラーメンのふるさと
白河市の妻の実家を訪問する際に、妻のご両親に連れて行っていただいたお店がここ。
白河市にある人気ラーメン店の一つ、手打中華かしまです。お店には開店前の20分ほど前に到着。わたしたちが一番乗りだったのですが、5分もしないうちに広くはない駐車場に続々と車が乗り付ける。人気が本物であることがわかります。
開店5分前にお店の人がのれんを掲げ、店内に案内されます。
入店一番に、上品な鶏ガラと醤油の香りがほのかに香ってきます。いやが上にも期待が高まる。
わたしはチャーシュー麺を大盛りで注文。麺が来る間に、頼めばサービスでだしに使っている鶏ガラを出してくれます。
ネギと醤油がかかった代物ですが、これがよく煮込まれていて美味! 骨もかめばほろほろと口の中でほどけてしまう部位もあって、「いやぁ、わかってるねえ」とよくわからないひと言を発しそうになってしまう。お肉も柔らかく、繊維質の口当たりもなめらか。鶏ガラにとらわれてしまったみたいで、五里夢中。日本酒のアテにも最高だろうな。
10分ほどでチャーシュー麺が到着。醤油と鶏ガラの素晴らしい香りをしばし堪能したあと、スープを一口。
うーん、これはいいですねえ。パンチのある強烈な鶏ガラのうまみが口中に広がります。濃縮されながらもくどさがない、非常にきれいな味わいのスープ。醤油の味も比較的濃い方だと思いますが、鶏ガラの力もあって次、また次とスープがほしくなります。油も結構浮いていますが、まったくくどさを感じない。
続いて麺をずるり。もちもちしこしこぷりぷり、きれいなスープと絡み合う官能的な舌触り。スープとの相性も当然のごとくよい。チャーシューもお肉が柔らかく、麺の合間に食べるにはちょうどよいアクセント。ラーメン全体としてバランスが取れていて、なかなかに計算された一杯だと感じます。
白河ラーメンをいくつか食べてわかったんですが、こちらのかしま、とら食堂とはまた少し違う味わいなんですね。こちらは最初に鶏ガラのうまみが来るのですが、とら食堂はスープ全体が調和して、より繊細な味わい。後味や余韻で魅せるタイプといったところでしょうか。
好みはいろいろあるでしょうが、よりトラッドな中華そばのイメージならかしまの方が近いかもしれません。そう、一杯街で引っかけたお父さんたちが屋台で食っていたラーメンと同じタイプなのがこちら。これは皆が思い描くラーメン、「ラーメンのふるさと」ではないか。やたら味の濃い、チャラついたラーメンがもてはやされる今の風潮に違和感を抱いているわたしとしては、こうしたラーメンにこそ本質があるのだと言いたい。世に多くラーメン好きを自称する方々はいますが、こうした素材の味を生かしたラーメンにはなぜかあまりスポットが当たらない不思議。ラーメン好きは、一度こうした素朴な一杯を食べて初心に立ち返れよ。
最後のスープの一滴まで余すことなく味わいました。郷愁を誘うラーメンの原点、名店です。
2021/10/29 更新
ヤタベストとしては、定期的にやたべ分を補給する=やたべりたくなってしまう習性があります。
実に2年ぶりの再訪でしょうか。初めてやたべ系に触れた記念すべき店であり、マルコーラーメン、慶と並ぶやたべ三銃士の一角。やたべ分を補給すべく、満を持して訪問です。
開店20分前に訪問し、待機名簿に名前を書く。続々と人がやってきて、店の前の駐車場があっという間に埋まってしまう。やはり人気店ですね。11時の開店と同時に店内のテーブル席に滑り込み、ワンタン麺900円を150円増しで麺大盛りでお願いします。
まずはやたべ系で大事な儀式、鶏ガラをつまむ。キレの良い醤油のカエシと、ほろほろに煮込まれたガラに舌鼓。心地よい旨味のハーモニーに、しばし身を任せます。
そうこうしているうちに、あっという間にワンタン麺大盛りが到着。素晴らしいルックス。深い琥珀色の澄み切ったスープ。チャーシューにメンマ、のり、ほうれん草、ワンタン。まずはスープの完成度に目が覚めますね。鶏ガラの旨味をキレのある醤油で昇華した、これぞやたべ系という味わい。旨味は強いのに、後味はまったくべたつかない。非常に秀逸なスープだと思います。脂を落としたかぶりにもも肉のチャーシュー、ずるっと口元に吸い込まれていくワンタンも見事。加水率が高く、ジューシーといえるビロビロの麺も最高。スープとの絡みが本当に見事で、うっとりしてしまいます。今回もあっという間に完食。夢のようなひととき。評価は据え置きで4つ星ですね。
やはり本家やたべを除けば、かしまか、慶か、マルコーか、ということになるのでしょうか。とら食堂は別格としても、これほどまで研ぎ澄まされたラーメンは本当に希有。ラーメン界の宝だと思います。慶にマルコーも再訪して改めて味を確かめたくなってしまいました。ことしもあと2か月ですが、なるべくやたべりたいと思います。ごちそうさまでした。