並の大陸系大衆中華とはひと味違います。 : 四川料理 秋 神保町本店

これまでも幾度となく書いてきましたが、大陸系大衆中華料理店に関しては、以前とあるサイトの記事で、「激安中華料理店が激増した理由」と題してブローカーの存在に言及しているものを見かけたことがあります。
要は、中国の厨師資格（調理人免許）をとって在留資格を取らせるという手口を駆使している専門のブローカーがいるというものです。
中国人向けに開業支援を行い、以前から多く見られた日本行きの口実である結婚斡旋で来日した女性がブローカーへの借金を返済した後に家族を呼んで開業したり、料理人として来日した男性が開業したりするケースが後を絶たないらしいです。
そういうお店は、安い人件費等を武器に料理の単価を抑えることができ、それが激安中華につながっていくんですね。
かねて私が指摘してきたように大陸系大衆中華では求人広告を全く見かけないこととも整合性が取れ、当店も例外ではありません。

ただ、当店の場合は、運営主体こそ明らかではありませんが、いくつかの姉妹店の存在が判明している点で、単純なブローカー系のお店とはちょっと異質な可能性を感じました。

その姉妹店は、以下の通りですが、特徴的なのは、全てが食べログ会員店になっていること、食べログ評価が比較的高いお店が多いことが挙げられます。
最近は、いわゆるやらせで評価の底上げを図るケースに対する取り締まりが強化されたので、個人的には、食べログ評価が3.3点を超えるお店は、相応の見方をしてもいいと思っていますし、また、当店に着いては、食べログや他サイトに掲載されているメニューを見ても、一般的な大陸系大衆中華とはやや違う感じを受けましたので、ちょっとした期待につながります。

【姉妹店】
・四川名菜 川府(@銀座）食べログ評価3.51点
・四川料理川府 新橋店（＠新橋）同3.26点
・四川料理 刀削麺 川府 日本橋店（＠日本橋）同3.42点
・四川料理 刀削麺 川府 神保町店（＠神保町）同3.47点
・台湾美食料理 留園 神保町店（＠神保町）同3.06点☞現在掲載保留中につき閉店の可能性有り。

姉妹店を眺めていてもう一つ気が付くのは、店名変更しているケースが多いこと。
これからは、経営を巡ってのちょっとしたやり取りがあった可能性が推測されますが、いい方向に行っていることを期待したいところですよね。

当店の場所は、靖国通りの書泉グランデの横の道を入り、南に150m弱進んだ左手ビル(WALL神保町ビル)の地下1階になります。

この日は、12時10分前頃の訪店になりました。
1階の店頭ではテイクアウトのお弁当を販売しており、その右側に地下のお店への入口があります。
このお弁当コーナー、入店時はそれほど賑わっていなかったものの、退店時には人だかりが出来ていましたので、結構人気なんですね。

階段を下りていくと、左手に扉があり、それを開けて入店します。
店内は廊下しか見えず、基本個室形式の造りになっていますね。
分煙になっているようで、喫煙の有無を尋ねられましたので、禁煙の旨伝えると、部屋へ案内してくれました。

案内された小部屋はテーブル席が17席ほど並べられています。
どこでも好きなところに座って可と言われましたので、その一角に腰を下ろします。

卓上には定食メニューが1枚置かれているだけで、グランドメニューなどは置かれていません。
その定食メニューは、なかなかバラエティに富んでいます。
おすすめカテゴリーには土鍋煮や煮込み料理のほか、中国陝西省の郷土料理であるロージャーモー（肉夾饃）もラインナップしています。
その他、一般の大陸系大衆中華にありがちな炒め物系メニュー（麻婆豆腐や回鍋肉、青椒肉絲、酢豚など）ももちろんラインナップしており、さらに麺類では私の好物の刀削麺も豊富に盛り込まれており、チャーハンも4種類ほどがあります。
興味を惹かれるメニューも多く、迷いましたが、食べたことの無いロージャーモーにそそられるものを感じ、その定食＠850円を注文しました。

卓上の土鍋のような器の中には煮卵が入っており、食べ放題のサービスになっています。
待つこと4分ほどで、ロージャーモーを除くランチセットが運ばれてきて、そのあと4分ほどでロージャーモーが焼き上がってきました。
この定食、850円にしてはなかなかの豪華版です。
ロージャーモーはもちろんとても美味しそうなのですが、それ以外に立派なサイズの麻辣春雨が付き、さらにサラダ、小鉢、杏仁豆腐、そして卓上サービスの煮卵が付きます。

まずは、ロージャーモーからいただいてみます。
中国風ハンバーガーとも言われるロージャーモーですが、バンズは白っぽい蒸しパン風のパンで表面がキツネ色にカリッと焼かれ、その中にひき肉とピーマン、パクチー等が詰められています。
パリパリ感ともっちり感、そして肉の旨味、パクチーの風味が一体となり、なかなか美味しいですね。
日本にもロージャーモーの専門店なども出来つつあるらしいですが(例:秋葉原の「MOOGA」)、ハマりそうな予感がします。

セットの麻辣春雨は、ダブルメインのようなサイズです。
こちらも麻辣風味にパクチーがかなり強く主張していますが、ひき肉がたっぷり入り、薬膳風の香辛料もいい味を引き出しており、とても美味しいです。

小鉢で馬鹿に出来なかったのが、落花生とセロリの和え物。
ありきたりの小鉢でなく、こういう手の込んだ料理が出されるのは嬉しいですね。

杏仁豆腐は、私のいつもの5段階評価では、中間のB評価ですが、煮卵のサービスは有り難いですし、全体にこの内容で850円ならハイコスパだと思います。
神田周辺の大陸系大衆中華には、いわゆるブローカー系のものとは一線を画したハイコスパ店が見られるのですが(例:魯香酒樓、金縁、川味坊など)、当店もそれらに割って入るだけの実力があると見ました。
こういうお店はサラリーマンにとっては強い味方ですよね。