高速性や大容量などの特性を持つ「Wi-Fi 6E」の無線LANと、拡張性のあるバックボーンを整備したオラクルパーク。スタジアムの観客やスタッフにもたらした変化とは。
MLB(メジャーリーグ機構)のチームであるサンフランシスコジャイアンツ(San Francisco Giants)は、ホームスタジアム「オラクルパーク」(Oracle Park)に無線LAN規格「Wi-Fi 6」の拡張版である「Wi-Fi 6E」のネットワークを整備した。ネットワーク機器ベンダーExtreme NetworksのWi-Fi 6E準拠の無線LANアクセスポイントを、通信事業者Comcast Businessの協力を得てスタジアム内の約900カ所に設置した。
オラクルパークが変更したのは、Wi-Fi 6Eによる無線区間の高速化だけではない。バックボーンのネットワークを大容量化し、最大100GBまで拡張可能にした。ここまで拡張性を持たせた理由は、今後ITが発展してネットワークを利用する機会が増えても、ネットワークの変更を必要最小限に抑えるためだ。ネットワークにこうした変更を加えることで、何が変わったのか。
オラクルパークでは、スタジアムのどこにいてもWi-Fi接続が利用可能になっている。同スタジアムはソーシャルメディアで友人と情報をシェアしたり、モバイル端末で経路を検索したり、売店に商品をオンライン注文したりといったインターネット利用に必要なサービスを整備している。観客が安心して試合を楽しめるようになっている。
スタジアムの運営スタッフにとっても、POS(販売時点情報管理)システムやチケット発券業務などで安定したネットワークを利用できる点はメリットだ。イベント開催時には、スタジアムの外にも無線ネットワークを迅速に配備することができる。
運営スタッフは、無線LANの運用にはExtreme Networkの無線LANコントローラー「ExtremeCloud IQ」を用いる。ExtremeCloud IQはスタジアムのネットワークの稼働状況を1つの画面で確認できることが特徴だ。運用を担うComcast Businessとサンフランシスコジャイアンツにとって、問題につながる前に異常を検知しやすくなる。Extreme Networkは無線LANの利用状況から人流を分析できるツール「ExtremeAnalytics」も提供している。
「Wi-Fi 6Eを観客に無料提供するという実績をオラクルパーク20年の歴史に刻むことができて光栄だ」と、サンフランシスコジャイアンツのシニアバイスプレジデント兼最高情報責任者(CIO)のビル・スクローフ氏は語る。
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