VDI製品の「VMware Horizon」シリーズは、Omnissaという新会社が引き継いだ。VMwareからOmnissaになって変わったことは何か。競合であるMicrosoftの「Azure Virtual Desktop」と比較する。
2023年11月に仮想化ベンダーVMwareを買収した半導体ベンダーBroadcomは、VDI(仮想デスクトップインフラ)製品を含むエンドユーザーコンピューティング(EUC)部門を投資会社のKKRに売却した。KKRが買収したEUC部門は、新会社Omnissaとして新体制をスタートさせた。
OmnissaのVDI製品は、仮想デスクトップを利用するための主要製品の一つだ。Microsoftの仮想デスクトップサービスと併せて、両社の違いを解説する。
OmnissaはVDI製品としてVMware時代の「VMware Horizon」を引継ぎ、以下の2製品として展開している。
MicrosoftはDaaSとして「Azure Virtual Desktop」(以下、AVD)を提供している。2024年2月にMicrosoftは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)用のOS「Azure Stack HCI」でもAVDの仮想デスクトップを利用できるようにアップデートした。AVDの仮想マシン(VM)は、クラウドサービスでもオンプレミスでも実行できるようになった 。
VDIの運用を検討している組織は、AVDとHorizonを比較し、自社のニーズに最適な選択肢を理解する必要がある。
エンドユーザーにとって、デスクトップがどこで実行されているかは問題ではない。重要なのは、エンドユーザーが自分の仕事を遂行できるかどうかだ。
一方で、組織やシステム管理者にとっては、デスクトップがどこで実行されるかは重要な問題だ。法規制を順守するために、特定のアプリケーションやデータを自社のデータセンターに保持しなければならない場合もある。バージョン管理や可用性を自社で制御するために、オンプレミスでアプリケーションを実行したいと考える組織も存在する。クラウドサービスベンダーに依存するリスクに対する不安を抱える組織もあるだろう。
MicrosoftとOmnissaはいずれもクラウドサービスとオンプレミスで利用できるVDIを提供しているが、使用しているハイパーバイザーが異なる。
Horizonシリーズは、サーバ仮想化製品群「VMware vSphere」(以下、vSphere)で動作する。vSphereの「VMware ESXi」は成熟したハイパーバイザーであり 、Horizonシリーズと連携することで効率的な仮想デスクトップ運用を実現する。例えばvSphereに搭載されている「インスタントクローン」機能は複数のエンドユーザーに仮想デスクトップイメージを効率的に配信できる。vSphereとの連携による仮想デスクトップの配信時間の短縮やリソースの節約は、Horizonシリーズの強みとなっている。
vSphereを既に使用しているユーザーにとって、Horizonシリーズを利用するのは合理的だ。OmnissaがVMwareから今後もvSphereとの連携を継続するのか、ライセンスがどうなるのかなど不透明な部分はあるが、2024年11月現在ではHorizonシリーズとvSphereは強固に連携している。
一方、AVDはハイパーバイザーの「Hyper-V」などMicrosoftの製品群と連携している。2024年からは、システム管理者はオンプレミスのAzure Stack HCIでもAVDを利用できるようになった。
次回はHorizonシリーズとAVDを比較する際に重要な「仮想デスクトップOS」などの違いを解説する。
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