【2024年版】有効求人倍率とは?全国・都道府県別の推移から転職事情が分かる!
更新日:2024年12月06日
記事まとめ(要約)
- 有効求人倍率とは、「仕事の数」を「仕事をしたい人の数」で割った数値のこと
- 「1」より大きくなるほど求人数が多く、働き手が足りなくなる=売り手市場
- 「1」より小さくなるほど求職者が多く、仕事探しが難しくなる=買い手市場
有効求人倍率は、雇用動向を示す重要な指標であり、転職や就職活動を行う際に参考になります。最新の有効求人倍率を紹介すると共に、その計算方法や読み解き方について解説します。
有効求人倍率とは
有効求人倍率は、ハローワークに登録して仕事を探している人の数(有効求職者数)に対して、どれくらいの数の仕事があるか(有効求人数)を示す割合です。この数字が大きいほど、求職者1人に対して、たくさんの仕事がある状態を表します。
有効求人倍率は、厚生労働省により毎月発表され、雇用動向を把握するために活用できます。
有効求人倍率は、景気とほぼ一致して動く性質を持つため、景気動向指数を構成する要素のうち「一致指数」に該当します。
有効求人倍率の見方
有効求人倍率が「1」を超えている時は、求職者数を上回る求人数があることを意味し、売り手市場と言えます。有効求人倍率が高いほど、求職者にとっては転職しやすい傾向となります。
一方、有効求人倍率が「1」を下回っている時は、求職者数よりも求人数が少ないことを意味し、買い手市場となります。この時期に転職活動をすると、求職者同士の競争率が高くなり、転職の難易度が高まります。
有効求人倍率の計算方法
有効求人倍率は以下の計算式で算出されます。
有効求人倍率 = 有効求人数(件)÷ 有効求職者数(人)
「有効求人数」は、ハローワークにおける求人数の合計で、「有効求職者数」は、ハローワークに登録して就職活動をしている人の合計です。
有効求人数が120件、有効求職者数が100人の場合、有効求人倍率は「1.2倍」となります。
有効求人数が80件、有効求職者数が100人の場合、有効求人倍率は「0.8倍」となります。
なお、有効求人倍率の計算対象には、正規雇用だけでなく、バイト・派遣・契約社員などの非正規雇用も含まれています。
有効求人倍率に関連する用語の定義について、詳しくは次の章でお伝えします。
完全在宅勤務・
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有効求人倍率を見る前に知っておきたい用語
有効求人倍率はハローワークのデータが基
有効求人倍率は、全国のハローワーク(※)の求人数と求職者数を基に、厚生労働省が算出しています。
そのため、求人情報誌や転職情報サイトに掲載されている求人や、それらを利用して応募する求職者は、有効求人倍率の計算には含まれていません。
有効求人倍率は、転職市場や景気の状況を測る指標ではありますが、広く活用されている求人サイトなどの傾向は反映されていないことから、実際の状況とは異なる可能性があります。
また、報道される有効求人倍率は、労働市場全体の平均値であることが多く、実際には職種によって有効求人倍率が異なることにも留意が必要です。
有効求人倍率は、あくまで参考程度に留めておくと良いでしょう。
※ハローワークとは?
ハローワークは、正式名称を「公共職業安定所」と言い、全国各地にあります。職業安定法に基づいて、職業紹介や失業給付の受給手続き、就労に関する相談サービスなどを提供しており、求職者だけでなく、求人を出す企業も無料で利用できることが大きな特徴です。
また、上述したとおり、有効求人倍率では、正規雇用と非正規雇用は区別されていません。
厚生労働省が発表している正社員の有効求人倍率には、派遣労働者や契約社員を希望する求職者も含まれているため、厳密に言えば正社員のデータを示したものではない点にも注意が必要です。
有効求人数とは?
有効求人数とは、ハローワークにおいて、当月の新規求人数と前月から繰り越された求人数の合計です。
分かりやすく言うと、現在募集されているものの、まだ埋まっていない求人の数であり、「当月新たに募集された求人」と「過去から引き続き残っている求人」の合計となります。
有効求職者数とは?
有効求職者数とは、ハローワークにおいて、当月の新規求職申込者数と、前月から繰り越された求職者数の合計です。
分かりやすく言うと、現在、仕事を探しているものの、まだ仕事が見つかっていない人の数であり、「当月新たに仕事を探し始めた人」と「過去から引き続き仕事を探している人」の合計となります。
新規求人倍率とは?
新規求人倍率とは、当月に新たに発生した求人数と、当月の新たな求職者数を基に算出したもので、前月から繰り越されないという点で、有効求人倍率とは異なります。
新規求人倍率は、有効求人倍率と併せて厚生労働省が毎月発表します。新規求人倍率をチェックすることで、労働市場における最新の求人の動きや、新しく求職者として登録した人の動向を捉えやすくなります。
季節調整値とは?
実際の調査値である「原数値」に対して、毎年、決まった時期に起こる変動を取り除いた値を「季節調整値」と言います。
例えば農業就業者の場合、春から夏にかけて増加し、秋、冬には減少するといった季節変動があります。
雇用や失業、景気情勢の変動を見るうえで、長期的な傾向を正確に把握するためには、こうした一時的な要因を取り除く必要があるため、季節調整値が使用されます。
有効求人倍率を、前月や前々月のデータと比較する際は、季節調整値を参照することで、より正確な分析が可能になるでしょう。ただし、前年同月との比較であれば季節調整値は必要ないため、原数値で比較します。
有効求人倍率と一緒によく聞く、完全失業率とは?
完全失業率とは、15歳以上で働く意欲のある人のうち、職に就かず、求職活動をしている人の割合です。分かりやすく言うと、働ける状態にあり、仕事を探しているものの、まだ仕事が見つかっていない人の割合を指します。
完全失業率は、完全失業者を労働力人口で割ることで算出され、総務省が「労働力調査」で毎月発表しています。完全失業率の割合が高いほど、仕事を探している人が多いことを表します。
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有効求人倍率の推移(2007~2023)
【全国】有効求人倍率の推移(2007年~2023年)
季節調整値で新規学卒者を除きパートタイムを含む
上記は、2007年から2023年までの全国の有効求人倍率の推移です。2023年の有効求人倍率は前年から0.03ポイント上昇の1.31倍でした。
2020年から2021年にかけては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済活動が低迷し、企業の採用活動が大幅に減少したことから、有効求人倍率も大きく低下しました。
しかし、直近の2022年、2023年と回復に向かい、2022年には1.28倍、2023年には1.31倍と連続して増加しています。
この要因として、経済社会活動の活発化や、コロナ禍において低迷していたサービス分野の求人が再び増えていること、更に少子高齢化による人材不足が考えられます。
長期的に見ると、2014年以降、有効求人倍率は依然「1」を上回っており、求職者より求人数が多い状況が長らく続いています。
都道府県別の有効求人倍率(2024年8月)
全国・都道府県別の有効求人倍率を、2024年8月と、2023年の8月で比較しています。
都道府県別 有効求人倍率
都道府県 | 2024年 8月 | 2023年 8月 |
北海道 | ||
---|---|---|
北海道 | 1.04 | 1.12 |
東北 | ||
青森県 | 1.25 | 1.30 |
岩手県 | 1.31 | 1.34 |
宮城県 | 1.23 | 1.34 |
秋田県 | 1.40 | 1.49 |
山形県 | 1.50 | 1.54 |
福島県 | 1.40 | 1.50 |
北関東 | ||
茨城県 | 1.51 | 1.58 |
栃木県 | 1.26 | 1.28 |
群馬県 | 1.41 | 1.52 |
首都圏 | ||
埼玉県 | 1.15 | 1.19 |
千葉県 | 1.22 | 1.22 |
東京都 | 1.11 | 1.18 |
神奈川県 | 1.10 | 1.12 |
甲信越 | ||
新潟県 | 1.46 | 1.57 |
山梨県 | 1.50 | 1.45 |
長野県 | 1.43 | 1.57 |
北陸 | ||
富山県 | 1.55 | 1.61 |
石川県 | 1.42 | 1.49 |
福井県 | 1.87 | 1.92 |
東海 | ||
岐阜県 | 1.55 | 1.64 |
静岡県 | 1.25 | 1.33 |
愛知県 | 1.24 | 1.33 |
三重県 | 1.36 | 1.49 |
関西 | ||
滋賀県 | 1.23 | 1.33 |
京都府 | 1.25 | 1.24 |
大阪府 | 1.03 | 1.10 |
兵庫県 | 1.15 | 1.15 |
奈良県 | 1.33 | 1.35 |
和歌山県 | 1.23 | 1.25 |
中国 | ||
鳥取県 | 1.41 | 1.55 |
島根県 | 1.58 | 1.66 |
岡山県 | 1.41 | 1.52 |
広島県 | 1.32 | 1.41 |
山口県 | 1.75 | 1.72 |
四国 | ||
徳島県 | 1.26 | 1.30 |
香川県 | 1.60 | 1.59 |
愛媛県 | 1.45 | 1.47 |
高知県 | 1.19 | 1.19 |
九州・沖縄 | ||
福岡県 | 1.07 | 1.14 |
佐賀県 | 1.50 | 1.54 |
長崎県 | 1.38 | 1.39 |
熊本県 | 1.39 | 1.46 |
大分県 | 1.56 | 1.55 |
宮崎県 | 1.41 | 1.48 |
鹿児島県 | 1.24 | 1.29 |
沖縄県 | 1.12 | 1.18 |
都道府県・地域別有効求人倍率(就業地別・季節調整値)
新規学卒者を除きパートタイムを含む
前年の同月と比較すると、全国平均で0.07ポイント低下しており、有効求人倍率は下がっていることが分かります。
完全失業率の推移(2007~2023年)
【全国】完全失業率の推移(2007年~2023年)
単位は%
出典:「労働力調査」|総務省
季節調整値で新規学卒者を除きパートタイムを含む
2011年は、東日本大震災の影響により、岩手、宮城および福島の各県において調査が一時困難となったことに伴い作成された「全国補完推計値」を使用
上記は、2007年から2023年までの完全失業率の推移です。2023年の完全失業率は前年から横ばいの「2.6」%でした。
長期的に見ると、2011年以降、完全失業は徐々に低下していき、近年は2%台で安定しています。
ただし、2020年と2021年には失業率が2.8%に上昇しており、これには新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業が営業停止や規模縮小を余儀なくされたことが反映されていると考えられます。
今後、考慮すべきことの一つに、2024年4月から「働き方改革関連法」が改正され、建設業や運輸業などにおいて時間外労働の上限規制が適用されたことで起こる「2024年問題」があります。
これらの業界では、労働力不足の課題が更に加速することが予想されます。しかし、失業率が低下している状況においては、労働力を増やすことが難しいため、省力化といった取り組みも必要になってくるでしょう。
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まとめ
「有効求人倍率」は、「求職者1人に対してどれだけの求人があるか」を示す指標であり、この数値が高いほど求職者にとっては有利な状況になると言えます。
近年の有効求人倍率の推移を確認してみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で有効求人倍率は減少したものの、「1」を上回る状況が続いています。
都道府県や職種によっても異なりますが、求職者よりも求人数が多く、企業にとって働き手が不足している状態と言えるでしょう。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
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