《ニュース》
国際エネルギー機関(IEA)の報告書で、2030年までに中国の原子炉の発電量が欧米を超えるとの予測が示されました。
《詳細》
報告書では、現在世界で約420基の原発が稼働しており、25年の発電量は過去最高を更新するとみられています。原発の7割は先進国に集中していますが、その平均稼働年数は36年で、今後10年以内に廃炉にするか、耐用年数を伸ばす改修が必要になります。
一方、中国の原発の平均稼働年数は9年で、世界中で現在建設中の原発63基のうち、29基は中国国内にあります。また、世界で2017~24年9月に建設された原発52基のうち、25基は中国製、23基がロシア製であることを挙げ、「サプライチェーンの多様化の必要性を示している」としています。
報告書は「2030年までに、中国の原子炉の発電量は欧米を追い抜く見込み」としています。同時に、次世代原発の「小型モジュール炉(SMR)」が急成長する兆しもあり、50年までに新規建設する原発の6割が欧米製となる試算も示しました。さらに日本などで新規建設が始まることで、先進国の設計を採用した原子力プロジェクトの割合が2030年以降、50%以上になるとも試算しています。
日本では東日本大震災以降、多くの原発が止まり、再稼動が進んでいません。現在、稼働中の炉は12基、再稼動の準備中の炉は5基ですが、再稼働の見通しが立っていない原子炉が半数以上の19基ある状況です。そうした中、日本の電気料金は高騰し続けており、今や家庭用でも産業用でも、中国の約3倍になっています(2024年5月号記事「原発を動かして家計を楽にしませんか?」)。
《どう見るか》