卓球の日本一を決める「天皇杯・皇后杯 2025年全日本卓球選手権大会」が21日から26日にかけて東京体育館で行われた。実力者が揃った戦いが繰り広げられたなか、女子シングルスで優勝を果たしたのが早田ひな(日本生命)である。

■世界卓球出場権も獲得

今回の全日本で史上6人目の3連覇がかかっていた早田だが、昨夏のパリ五輪で負った左腕の怪我に苦しんでおり、実戦復帰までに3カ月を要した。その後出場していた国内外の大会でも万全の出来を見せられずに今大会に挑んだ。

それでも、第1シードとして臨んだ大会で準々決勝まで勝ち上がると、芝田沙季(ミキハウス)相手に第3ゲームでビハインドを逆転するなど4−1で勝利してベスト4まで勝ち進み、試合を重ねることで調子を上げていく。

圧巻だったのが最終日に見せたパフォーマンス。昨年の躍進から今回の全日本で優勝争いも期待された世界ランキング7位の大藤沙月(ミキハウス)相手に第1ゲーム10−9からのサービスや、第3ゲームビハインドからの連続ポイントなど、要所を締める早田の真骨頂が発揮されてストレート勝ち。

さらに、最年少優勝をかけて挑んできた張本美和(木下グループ)との決勝でも立ち上がりの9連続ポイントで相手の出足を封じた。厳しいコース取りからのフォアドライブやチキータ、サービスエースなど多彩な技の引き出しで張本美にも4−0で勝利。大藤、張本美相手に見せた衝撃の連続ストレート勝ちには24歳の経験に裏付けされた卓球脳が詰め込まれていた。

試合後早田は「パリ五輪までの自分に戻ることはできない」と引き続き怪我と向き合いながらの日々を送ることを示唆した。それでも、今回の優勝で5月にドーハで行われる世界卓球のシングルス出場権を獲得しており、2028年のロサンゼルス五輪に向けても期待が高まっていく。これまでとは異なる“凄み”で通算4度目の全日本制覇を成し遂げたエースのこれからにも注目が集まっていく。