インタビュー
無料ワールド開設に踏み切った真意とは? 「ラグナロクオンライン」ユーザーシンポジウムの補遺となるインタビューを敢行
そこで,シンポジウム当日には聞けなかった部分について,ガンホー・オンライン・エンターテインメント第一マーケティング部 部長 飯野平氏,同じく第一マーケティング部 中村聡伸氏に聞いてみた。
例えば無料プレイワールドにしても,台湾や韓国で展開されたそれとはかなり異なるサービス内容であり,海外での例を元に語るわけにはいかない。そうした情報を,よりツッコんでお届けしよう。
無料プレイワールドはVerdandiワールドの特別チャネル
本日はよろしくお願いします。早速ですがシンポジウムの目玉の一つ,期間限定の「無料ワールド」開設についてお聞きします。開発元である韓国でもこの5月に無料ワールドがオープンし,経験値やアイテムドロップ率の調整で差別化を図ったとはいえ,既存プレイヤーからの評判はあまり芳しくなかったように思います。期間限定とはいえ,日本で無料ワールド開設に踏み切った理由を教えてください。
飯野氏:
実はその部分についてはこちらの説明不足で,ユーザーシンポジウムでも参加者のみなさまに,同様の誤解を与えてしまったのではないかと危惧しています。時期が近かったこともあって,韓国での無料ワールド開設を受け,日本でも同様の試みを行ったと思われてしまいかねないのですが,実は企画自体がまったく異なるものと考えてください。
4Gamer:
それは恥ずかしながら,我々もよく認識していませんでした。どういうことなのでしょうか?
飯野氏:
日本で無料ワールドを開設するに当たっては,複数の背景が存在しました。その一番目はワールド統合の問題です。シンポジウムでも触れたとおり,複数のワールドを統合して賑やかな環境でプレイしてもらうことを考えるのはよいのですが,例えば同じキャラクター名/ギルド名が存在する場合,どちらか片方が変えなければいけないのか? そしてランキングのポイントをどう処理するのか? という問題に対して,全プレイヤーに納得してもらえる解決方法はまずありません。
4Gamer:
そこはどのゲームサービスでも頭の痛い問題のようですね。
飯野氏:
そもそもワールド統合が必要なのは,参加人数の少ないワールドにプレイヤーを増やし,ワールド間の格差をなくすことですから,そこで既存の方法にこだわる必要もないのではないかと考えたんです。
また,それとはまったく別個に,そろそろ新しいワールドが欲しいという話も浮上していました。
三つ目の理由は,新規のプレイヤーさんが来てくれたとき,なるべく多くの“同級生”と一緒にプレイしていけるようなやり方はないか,という模索です。現状だと24あるワールドから一つを選ぶことになり,初心者が分散してしまいますが,今回の試みでは期間中に作成したアカウントはすべて無料ワールドに集中される仕組みですので,みんな一緒に,横並びのレベル帯でゲームを始められるわけです。
飯野氏:
その意味で無料ワールドの開設は,ワールド統合でやりたかったことを実現し,かつ新規プレイヤーさま同士のコミュニティを活性化しつつ新ワールドを開設するといった,もろもろの課題を一気に解決する案としてまとまった話です。ですから,韓国の無料ワールドとは成り立ちがまったく異なるわけです。
中村氏:
経験値やアイテムドロップの仕様もまったく変更していない,既存ワールドと同じプレイ環境となっています。一部のクエストや機能だけが無効化されているものの,序盤のプレイには影響がない部分ですから,初めて「ラグナロクオンライン」に触れるという人でも,世界観を理解し,楽しんでもらうのに問題はないはずです。
4Gamer:
例えば他社作品ではしばしば,サーバー統合時にキャラクター名やギルド名がダブったら登録日の早いものを優先する,といった方法がとられるようです。それでも,もちろん変えなければいけない側には,まったくありがたくはないですが。「ラグナロクオンライン」の場合,この問題に加えて,やはりランキングシステムの存在が,ワールド統合の大きな障壁となっているのでしょうか。
飯野氏:
プレイヤーさんが一番気にしたのは,むしろキャラ名を変えなければいけないのか? といった点ですね。ランキングはワールドの稼働日数に応じた倍率をかけて,平均値を出そうといったアイデアもありましたが,それで万事OKというわけには,なかなか。
4Gamer:
そうした問題の解決策として,無料ワールド新設という案が具体的になり始めたのは,いつ頃だったのでしょうか?
飯野氏:
企画自体が上がってきたのは3月〜4月ごろですね。次に技術的な問題,一定期間内に登録されたアトラクションIDについて,ワールドを自動で割り当てる方法などを検討したのは,6月上旬の話になります。そこがクリアになってからは,夏休みに合わせるべく,実現へ向けて一気に動き出しました。
中村氏:
韓国で無料ワールドを新設した際には,プレイヤーさんから賛否両論あったようですが,今回ユーザーシンポジウムで発表した内容に関しては,当社ヘルプデスクにとくに目立った反応は来ていないですね。
4Gamer:
みなさん十分に意味を理解して,とくにマイナス点はなさそうだというところに落ち着いたのでしょうか。
飯野氏:
とはいえ,24あるワールドの中でもとくに開設時期が新しく,人の少ない四つのワールドに所属しているプレイヤーさんは,むしろワールド統合による活性化を期待していらしたようです。
ですから「なぜ無料期間終了後の統合先がVerdandi(ヴェルダンディ)ワールドで,うちじゃないの?」という意見や,古参ワールドの方からは「倉庫が拡張されると期待していたのに」といった声をいただきました。
4Gamer:
そうか,逆にワールド統合待望論もあるわけですよね。
飯野氏:
ただ,キャラ名やランキングの問題が解決できたとしても,人の少ないワールド二つを単純に統合して,人数を増やしましたというのは基本的に後ろ向きな方法だと思うんですよ。それよりは新規のプレイヤーさんをピンポイントで誘導し,ワールドの活性化や古参プレイヤーさんとの交流を促すという,我々が考えるアプローチに対して,プレイヤーさんは割と冷静というか,納得していただけているようです。
4Gamer:
ではVerdandiは,いま一番人口が少ないワールドなんですか?
飯野氏:
いえ,そうではありません。Verdandiが選ばれたのは,ほかのワールドがマイグレーションなどを経て追加された,いわば親子関係のある存在なのに対して,Verdandiは開設当初,唯一独立したワールドとして追加されたためです。
Verdandiより人が少なく新しいワールドはありますが,キャラクターを含めデータ自体は5年前から引き継いだものも多いわけでして,Verdandiはそういう意味では一番新しいデータですから,これからプレイを始める人との差も,最も小さくなります。
4Gamer:
お聞きする限り,新ワールドを作ったというよりは,既存のワールドのバックエンドに,新しい仕組みを追加したという感じに思えます。だとすると人数が少ないワールドには,今後も同様にピンポイントで新規プレイヤーを誘導できそうに思えますが,どうでしょうか。
ええ。この施策が成功すれば,当初ワールド統合を予定していたところや,比較的人数の少ないワールドには,順次実施していきたいと思っております。設備と労力の問題を別にして技術的に言えば,明日にでもすべてのワールドに対して,全く同じアプローチが可能です。
4Gamer:
無料ワールドである「Skuld」(スクルド)に作られたキャラクターデータは,初めからVerdandiワールドのデータベースに格納されるわけですよね? その場合,新規キャラクターでのプレイはVerdandiワールドのサーバーPCが処理することになるのでしょうか?
飯野氏:
少し細かく申し上げると,データの格納先はVerdandiのワールドと共有ですが,マップ内の行動などについては,SkuldのワールドPCが個別に処理を行います。Verdandiワールドに新しいチャネルが一つ加わったようなものだと考えていただければ,分かりやすいかもしれません。もっとも,一般的な意味でのチャネルと異なり,スクルドワールドとVerdandiワールドの間は,プレイヤーさんの意思では往来できませんが。
4Gamer:
なるほど,一種の初心者限定チャネルだと。
飯野氏:
そうしたデータ共有の関係で,Skuldでは攻戦城や結婚といったシステムが利用できません。これを禁じないと,例えばSkuld側の大聖堂で誰かが結婚式を行った場合,Verdandi側の大聖堂には誰もいないはずなのに,目の前で式が始まり,キャラクターが前に進めないといったことが起きてしまいます。それを防ぐためにVerdandi側を優先させ,いくつかのシステムが使えなくなっています。
4Gamer:
ところでユーザーシンポジウムの発表では,新規プレイヤー獲得に加えて「休眠プレイヤーの復帰」もこの無料ワールドの開設目的に含まれていましたね。
一般に,かつてプレイしていた人が復帰する代表的な理由は,昔の友達にまた会えるから,あるいは装備品などを失っておらず,すぐにプレイを再開できるからだと思います。
そうなると新規アカウントでしか接続できない無料ワールドのコンセプトと,矛盾するのではないかとも思うのですが。
飯野氏:
ここでいう休眠プレイヤーというのは,受験や就職活動などで数か月間お休みをしているといった人のことではありません。何年も前に「ラグナロクオンライン」をプレイしていたが,当時のIDはもう忘れてしまったし,データも残っていない。あるいは引退時に装備品やゲーム内通貨は仲間にあげてしまったので,昔のアカウントで接続してもできることはあまりない。でも最近の様子を覗いてみたい……といった方を指しています。
4Gamer:
確かに,年単位で見るならゲーム内の様子もだいぶ変わっていますね。ただ,1か月の無料プレイですと,昔と比べて目新しい場所としては「冒険者アカデミー」くらいしか体験できないのではないでしょうか? アインブロックやラヘルなどはそれなりにキャラを育てなければ行けませんし。
飯野氏:
いつごろプレイをやめたかにもよりますが,例えばフェイヨンの町は正式サービス開始時とはガラっと風景が変わりました。モンスターの再配置も行われて,以前は混雑していたマップにいまは誰もいない……といった驚きも味わえるはずです。序盤の育成も相当楽になりましたから,その点も楽しんでもらえると思いますよ。
中村氏:
全員が初心者でレベル帯が変わらないわけですから,みんな1次職でお互い助けあったり,人がいつも集まって賑わう場所の雰囲気など,「ラグナロクオンライン」のサービスが始まったばかりの雰囲気を,かつてのプレイヤーさんにも懐かしく思い出してもらえるのではないでしょうか?
4Gamer:
では数的側面をうかがいますが,この無料ワールド開設に伴う新規アカウント獲得は,どの程度を見込んでますか?
飯野氏:
そうですね,1か月間で数万アカウントは獲得していきたいです。
4Gamer:
そこから月額課金に移ってくれる人の割合は,どの程度を目標にしていますか?
飯野氏:
あくまで我々の希望ですけれど,半分くらい残っていただけたらなあと。これは希望というより“夢”の数字ですね(笑)。
無料ワールドでも有料アイテムは使えるため,将来的には基本無料+アイテム課金というビジネスモデルになるのでは? と想像する方もいらっしゃると思いますが,今回の施策はあくまで新規プレイヤーの獲得と誘導,そしてワールドの活性化を目標としたプロモーションの一つだと思っていただきたいです。
中村氏:
Verdandiの現プレイヤーさん達にとっても,決して悪いことではないと思います。新規の方が増えることによる活性化は必ずあるでしょうし,これをきっかけにギルドメンバーの勧誘をしてみたり,効率のよい狩場を教えてあげたりといった交流を図ってほしいですね。
三次職のグラフィックス変更はあり得るか?
それでは次に,ファンからの注目度も高い3次職についてお聞きします。韓国におけるテストサーバーへの導入予定が今年の秋頃ですね。日本への実装は当然2009年の話になるとは思いますが,おおまかな予定を教えていただけますか。
飯野氏:
韓国では正式実装も一応年内を考えているようですが,日本ではさすがに,来年の話になります。
4Gamer:
上半期か,下半期になりそうかというあたりはどうでしょうか?
飯野氏:
早めに詳しくお伝えしたいのはやまやまなんですが,まだ職業名とグラフィックスの一部しか情報がありません。それもシンポジウムに合わせて情報を下さいと,韓国開発サイドにお願いしたところ「じゃあ,いま制作途中のグラフィックを送ります」ということだったので,実はまだモーションもスキルも何も分かっていません。
中村氏:
手元にある情報は,ユーザーシンポジウムですべてみなさんに公開してしまったというのが,正直なところです。
4Gamer:
ま,まあつい最近までラフ画と系統図しか出ていなかったことを考えると,だいぶ情報が明かされてきたと言えなくもないですね……。
飯野氏:
三次職といっても、3-2次職は韓国でもいつ頃導入されるのか,まだアナウンスされていません。先ほど韓国では年内実装と申しましたのも,もしかすると3-1次職だけかもしれませんし。
中村氏:
3次職のスキルは攻城戦バランスにも大きく影響し得ますから,日本での実装時には3-1次職と3-2次職を同時に入れるのか,あるいは順次導入という形にするのかも,スキル内容の情報が届いてからのお話になります。
4Gamer:
ちなみに,お聞きしづらいところなんですが,グラフィックスに……なんといいますか,トゲトゲが多いですよね,全体的に。
飯野氏:
弊社の制作担当とマーケティング担当で初めてこのグラフィックスを見たときも,なんでこんなにトゲトゲなのかと,すぐに話題になりましたねぇ。ただ,良し悪しは別として開発側の考えとしては,上位2次職よりもさらに豪華にという方向性で,このグラフィックスにたどり着いたようです。
中村氏:
3次職のスキル詳細と戦い方が明らかになると,このグラフィックスにふさわしい職業になる可能性もありますけどね。マーチャントからブラックスミスという既存の系統に,あるとき突然アルケミストという分岐が出来たように,3次職も一本道でつながった職業ではなく,派生した新しい職業ととらえれば,こういった装備もあり得るかな,とも思います。
飯野氏:
ユーザーシンポジウム終了後にヘルプデスクに届いた反応は,無料ワールド開設についてではなく,ほとんどがこの3次職のグラフィックスと職業名に関するものでしたので,これからそれをまとめて開発元に伝えます。それによって必ずしもグラフィックスが変更されるとお約束はできませんが,今回は最新情報をいち早くお伝えしたいということで,公開に踏み切りました。
4Gamer:
日本のファンの希望を容れたデザインになる可能性は,実際どの程度と見ていますか?
中村氏:
うーんまあ,変更の可能性をお話しする以前に,このグラフィックスで確定なのかどうかも分かりませんので……。
4Gamer:
過去に2次職,あるいは上位2次職の外見が日本からの要望で変更されたことはありますか?
飯野氏:
そういったことは過去ありません。というより,過去に導入された職業に関して,グラフィックスへの不満が多くはありませんでしたので。
4Gamer:
では,3次職への転職条件については,現状どんな感じでお話が進んでいますか?
飯野氏:
韓国で発表された情報はもちろん聞いていますし,「ここは少し変えたほうがよいのでは」といったミーティングを重ねています。しかし,なにしろ韓国サーバーでも未実装の内容ですので,転職条件やバランスが実際どうなるのかは,まだ分かりません。また,日本のプレイヤーさんのレベル帯推移が,年内にどれだけ変わるかという要因もあります。
中村氏:
シンポジウムで現状のレベル帯分布を発表しましたが,3次職が来年実装されるかも? と分かってから,一気にレベル上げに励む人が増えるかもしれませんしね。
4Gamer:
最近はゲーム内でも,上位2次職のレベル99を割とよく見かけるようになりましたしね。
飯野氏:
3次職への注目度の高さは,我々も認識しています。今後も最新情報が入り次第紹介していきますので,そちらにご期待ください。
あえて課金スキームと切り離したIPスルー対応
続いて,公認ネットカフェについてお聞きします。シンポジウムでは思ったよりも,ネットカフェ向けに大きな施策が出てきたなぁと感じました。
ゲームのサービス全体から見れば,家庭のPCから接続する人も,公認ネットカフェから接続する人もまったく等価なわけですが、あえてネットカフェ向けのサービスに力を入れる意図,ひいては「ラグナロクオンライン」というタイトルでネットカフェに担ってもらいたい役割を教えてください。
飯野氏:
まず,いまのお話は,家に「ラグナロクオンライン」がごく普通にプレイできるPCがある状況を前提にしていますよね。もちろん,ここ数年は自宅に十分なスペックのPCがある人が大半を占めています。とはいいつつも一方で,自宅のPCでは快適に遊べない,あるいは友達とオンラインではなくリアルで隣同士に座って遊びたいという人が存在する以上,公認ネットカフェという存在は,これから先も絶対に必要なものだと考えています。
4Gamer:
確かに前回のIPスルー発表時に実施された,経験値アップキャンペーンはだいぶ好評だったと聞いています。
飯野氏:
そうですね。細かな数字はお知らせできませんが,キャンペーン実施期間中の公認ネットカフェでの稼働時間は,他社タイトルを抑えて1位。それも2位のタイトルを2倍近く引き離しての1位と聞いています。
普段,1位と2位は大差ない数値らしいのですが,キャンペーン期間中は本当にすごかったようです。
4Gamer:
ただ,ネットカフェサービスにはどうしても地域に縛られる性格があって,シンポジウムのアンケート結果で2位が「ネットカフェ特典をなくしてほしい」というものでもあるわけですよね。
飯野氏:
ネットカフェをほとんど利用しない人からしてみると,特典が欲しければわざわざネットカフェにいってお金を払わなければなりませんよね。あるいは近所にネットカフェがない人にしてみれば,不公平だということで,こうした結果になったのだと思います。
例えば他社さんのタイトルを見る限り,ネットカフェからのプレイで取得経験値が優遇されること自体は珍しくないサービスなのですが,賛否両論出ることは予測していました。
ただ,前回のキャンペーンはIPスルー開始のプロモーションも兼ねていましたし,今後はネットカフェを利用しない,家の近くにネットカフェがないという人にも満足できる,別の切り口のサービスを企画していきたいと考えています。
4Gamer:
IPスルーの話が出たところでお聞きしますが,1DAYチケットも並行して販売されている理由はどこにあるのでしょうか。IPスルーなら,課金決済も同時に処理するのがオーソドックスな気もします。
飯野氏:
確かにIPスルーと聞くと「ネットカフェからつなげば,ネットカフェ利用料金に乗せて一括で請求してくれる」と受け取られがちなんですが,「ラグナロクオンライン」の場合,IPスルーは経験値+50%などの特典を付与するために留めているからです。
4Gamer:
ああ,なるほど。もともと課金スキームとしては利用していないんでしたね。ちょっと聞きにくいお話なんですが,1DAYチケットはゴールドファーマーの武器になっているというお話もあります。そこについてはいかがでしょう?
飯野氏:
現状で言いますと,不正行為の中で1DAYチケット使用者は,そこまで大きな率を占めてはいません。過去には倉庫や取引専門キャラクターを1DAYチケットで動かすという行為もありましたが,そもそも1DAYチケットでの利用も含めて,こちらですべてチェックしていますしね。RMTをビジネスとして行っている人は,より怪しまれないと思われている,月額課金を選ぶ傾向があります。
過去に悪用されたのは,カードに記載されていた新規IDのほうで,これは現在のカードにはありませんから,RMTと1DAYチケットという関係自体,過去のものです。
4Gamer:
な,なるほど。まあ運び屋さんにしても,ハックアカウントが使われるのがゴールドファーマーの世界ですしね。とくに1DAYチケットに害がないなら,一般的なIPスルーに一元化するよりも,すでに企画として定着した1DAYチケットと併存できる形が望ましいと。
では続いて,「魔王モロク」のアップデート内容についてですが,アップデート第2弾で新たなPvP要素が予定されていますよね。傾向として,日本ではあまりPvPが盛んでないと思いますが,日本向けにアレンジは行われる予定でしょうか。
飯野氏:
いまのところ,韓国からは仕様が届いただけで,まだ我々も実際にプレイできていません。日本向けのアレンジは必ず行いますが,どう変わるかはテストサーバーでの結果を見て考えようと思います。いま聞いてる情報ですと,戦場システムは19人 vs. 19人になるそうです。
4Gamer:
ええと,なんだか半端な数字のような気も……(笑)。
飯野氏:
ただ,韓国でも人数をもう少し減らす話も出ているようですし,褒賞としてもらえるアイテムがあまりに高性能なので,日本で導入するときには,やはり調整が必要になるでしょう。
4Gamer:
そうですね。そもそもPvPが盛んな国ならば「勝利したのだから性能のよい褒賞がもらえて当たり前」と思うでしょうけど,そうでない国だと「アイテムのために,別に好きでもないPvPをやらねばならない」と捉えられる危険があるでしょうし。
では最後になりますが,すでに始まっている無料ワールドサービスをきっかけに,「ラグナロクオンライン」に初めて触れる人や,かつて楽しんでいて,この機会に帰ってきてくれる人に向けて,メッセージをお願いします。
飯野氏:
ではまず,戻ってきてくれる人に向けて。休止してしまった時期にもよりますが,新職業やマップ追加などを通して大きく変化し,「ラグナロクオンライン」は5年というサービス期間にふさわしいボリュームに成長しました。それを1か月の無料期間中にできるだけ堪能していただいて,「やっぱりラグナロクオンラインは楽しい」と感じてもらえれば嬉しいです。
月額課金や,2Dのグラフィックスの作品ということで,いままで手を出しづらかった人にはぜひこれから,誰にでも分かるインタフェースや暖かい色味の世界観,コミュニケーションのとりやすさを楽しんでほしいと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
それに対して今回ガンホーがとった策は,無料プレイ期間の延長とも,単純な無料プレイワールドの導入とも異なるものだった。そしてこの方法論が好評ならば,今後別のワールドとリンクさせる形での実施も可能だという。
一方3次職については,まだまだ謎が多いと言わざるを得ないが,ガンホーにはぜひ,日本特有の「ラグナロクオンライン」受容の形を,開発サイドに十全に伝えてほしいところだ。強いキャラクターでも可愛くあってほしい……。そうしたプレイヤー心理はガンホーサイドもよく知っていることだろうから。
いずれにせよ,RWC 2007のプレスカンファレンスで明かされた開発構想は着々と形になりつつあるようで,この先の展開が楽しみだ。
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