淡路で独自の進化か? 「会食」するサルたち

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矢木隆晴
【動画】淡路島のニホンザルたちは、全国的に珍しい「寛容性」を大切にする群れだった=矢木隆晴撮影
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 兵庫県淡路島のニホンザルたちは、全国的に珍しい「寛容性」を大切にする群れだった――。大阪大学の研究者らによるここ数年の調査や実験で、島独自のサル社会のようすが明らかになってきた。そんな優しいサルたちの象徴とも言える行動が、コロナ禍で私たちが制限されている「会食」だ。

 野生のニホンザル約350頭が、朝にエサを食べにきては、夕方には山に帰っていく淡路島モンキーセンター(兵庫県洲本市)。職員がグラウンドに、「サル」という文字の形にエサを並べると、一斉にサルたちが身を寄せ合って食べ始め、モコモコとした「サル文字」ができ上がった。

 「実はこの行動、通常のニホンザルの集団にはできない行動なんです」

 大阪大学大学院人間科学研究科の貝ケ石優(かいがいしゆう)特任研究員(29)はそう話す。

 一般的なニホンザルは、群れの中の序列が明確に決まっている。下位のオスが食物を求めても、上位のオスが追い払ったり、攻撃したりすることが多く、ちりぢりになって文字の形にはならない。一方、淡路島のサルは、順位の離れたサルどうしが一緒に食事をすることができる。いわば、「会食」できるサルで、文字の形に並んで食べることができるという。

 貝ケ石さんの実験では、さらに驚くべきようすが観察された。一本のひもの両端を、2頭で引っ張ることでエサを得ることができるという実験をした。1頭がひもの片方を引っ張るだけではエサが取れない仕掛けになっている。

 その結果、淡路島のサルは2…

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