愛知県の大村秀章知事へのリコール署名偽造事件は、刑事告発から約3カ月で運動団体事務局長の田中孝博容疑者(59)ら4人が逮捕される事態となった。県選挙管理委員会の調査で無効の疑いが生じたのは36万筆超にのぼるが、その2倍近い署名が佐賀市内で作成されたと証言する関係者もいる。県警は大量の署名が組織的につくられた経緯について調べている。
「ぼくらは素人。だから過程を全部見せる。透明です」。運動団体会長で美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は、風通しの良い組織だと強調してきた。
だが、そう見ていない関係者も多い。運営の混乱で署名収集が滞り始めると、田中容疑者らは「妨害工作」を受けていると口にするようになった。異論を唱えた請求代表者やボランティアらを次々と排除。応援団として参加していた河村たかし・名古屋市長の周辺者も遠ざけられたという。
そうした中、渡辺美智代容疑者(54)は会計担当として事務局を切り盛りした。孝博容疑者が支部長を務めていた日本維新の会の衆院愛知5区支部の会計責任者でもあり、いわば「身内」だった。
関係者によると、妻のなおみ容疑者(58)と次男の雅人容疑者(28)は、ひんぱんに事務局に出入りしていた。雅人容疑者は有給の運転手を務め、高須院長や孝博容疑者が街頭で署名集めをする際には交通整理をしたという。
事件をめぐっては、佐賀市内で昨年10月20~31日に多数のアルバイトにより署名簿が書き写されたことがわかっている。関係者によると、これに先立ち、愛知から佐賀に大量の署名用紙などが送られた。雅人容疑者となおみ容疑者がワンボックスカーで運んだという。11月上旬までに数回に分けて相当な量が愛知に戻され、指印が押されたり、廃棄されたりしたという。
「とんでもない悪事」 解明望むボランティアら
「誰が発案、指示し、動いた…
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