アイドルマスターSideM×大阪府警 ネットで話題 コラボの訳は
ゲーム内のアイドルが痴漢防止に活躍――。大阪府警の鉄道警察隊が、人気ゲームのキャラクターとコラボし、ネット上で話題を呼んだ。防犯活動をするチームに新しく名前をつけるなどPRを続ける。市民の認知度を高めようという活動の根っこにあるのは、「被害者に声を上げてほしい」という思いだ。
「SOSは見逃さない!」。ポスターに描かれたのは、バンダイナムコエンターテインメント(本社・東京)が2014年に発表したソーシャルゲーム「アイドルマスターSideM(サイドエム)」内のグループ、「FRAME(フレーム)」。
ゲームは、プレーヤーがプロデューサーとなり、小説家や医者、ラーメン屋店主といった様々な経歴を持つ男性アイドルを、レッスンやライブなどを通じて育成するもの。FRAMEは元警察官、元自衛官、元消防士の3人組だ。
同社は今年6月、「お仕事コラボキャンペーン」と題して、ゲームに登場するキャラクターが、コロナ禍の企業や団体を応援する企画を募集。府警鉄警隊がすぐに応募し、FRAMEが登場するポスターをつくった。府内の鉄道駅や交番、公共施設に計約2千枚が貼られている。
9月にユーチューブなどで府警とのコラボを発表し、これをツイッターでつぶやくと、いつもは平均160件ほどの府警府民安全対策課のツイートの「いいね」が3500超に。鉄警隊員は「こんなに反響があるのか」と驚いたという。
ネット上では、ポスターを撮影した人がSNSに投稿するなど話題に。バンダイナムコでコラボキャンペーンを担当する門田(もんでん)研照(けんしょう)さんは「ゲームのアイドルが実社会の役に立てるということがうれしかった」と振り返る。
9月のちかん追放キャンペーンでは、大阪女学院高校(大阪市)と協力し、痴漢・盗撮追放を訴えるイラストを作成。駅に掲示して、通行人の「人気投票」もした。同月、防犯教室で学校や企業を訪れる鉄警隊の犯罪抑止専門チームには名前がなかったが、新たに「Rails(レイルズ)」と命名した。
隊を広く知ってもらうための活動には、「被害者の声をすくい取りたい」(府警幹部)という思いがある。鉄警隊によると、昨年10月~今年9月、把握する駅や車内での痴漢は122件、盗撮は68件だ。
「被害に遭っている」という訴えを元に捜査員が被害者と一緒に電車に乗り込み、痴漢行為を確認して現場を押さえる現行犯逮捕が有効という。複数の警察官が毎日、チームに分かれて痴漢の頻発する電車に乗車するパトロールもしているが、鉄警隊の中野武義隊長は「具体的な被害申告が、より検挙につながりやすい」と話す。だが、被害を届け出ずに泣き寝入りしている人も多いとみられ、中野隊長は「鉄警隊を少しでも親しみやすくして、被害者に『頼ってみよう』と思われる存在になるよう活動を続けたい」と話す。
列車内や駅での痴漢の相談は鉄道警察隊(06・6885・1234)で24時間受け付けている。
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