もっと考察して、質問もツッコんで、「どれみ40話」にもちゃんと触れてほしいけど、海外のクリエーターらの手放しの賛辞は興味深い。それが、7月にグラフィック社から出たチャールズ・ソロモンさん著「THE MAN WHO LEAPT THROUGH FILM 細田守の芸術世界」の感想です。細田さんをはじめとしたスタッフインタビューを交え、「時をかける少女」(2006年)から「竜とそばかすの姫」(21年)まで豊富な図版(コンテ、背景、原画、スチル、グッズ)と共に解説していくオールカラーA4変型272ページ、3850円の豪華本。
著者経歴によると、ソロモンさんは「国際的に著名なアニメーション歴史家・評論家」で、名門カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)でアニメ史を教えている方だそうです。ディズニー/ピクサー作品のアートブックが翻訳出版されており、本書もアートブック的色彩が濃いですね。これ1冊で「時かけ」以降の細田作品を総覧できるという意味では「お買い得」です。
本欄では19年から今年にかけ、スーザン・ネイピアさん著「ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光」(早川書房)、ステファヌ・ルルーさん著「シネアスト宮崎駿 奇異なもののポエジー」「シネアスト高畑勲 アニメの現代性(モデルニテ)」(共にみすず書房)という欧米の研究者による日本アニメ作家論をご紹介してきまして、どれも看過できぬ問題点をはらんでおりそれをたっぷりコラムで書いてきたもんですから、今回の「細田守論」にいい意味でも悪い意味でも期待していました(イヤな読者ですね)。
ですが作品の読解や作家論は…
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