見えない場所で苦しむ人々 雨宮処凛さんが語る宗教2世とロスジェネ

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聞き手・真鍋弘樹
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 「宗教2世」という言葉が、見えにくい場所で苦しんでいた人たちを可視化した、と作家・活動家の雨宮処凛さんは言います。そして、「ロスジェネ」という言葉も。生きづらさに悩む人たちを見えるようにした「名付け」について聞きました。

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 20年ほど前から、生きづらさをテーマにしたイベントによく参加していました。私自身、以前は自殺願望があり、リストカットを繰り返した当事者の一人だったので、同じ悩みを抱える人たちとつながりを深めました。

 その中に一定数、今で言う「宗教2世」の人たちが交じっていました。話を聞くと、彼ら彼女らは親から異様な制約を受けていた。「人を好きになってはいけない」と言われ、学校行事にも参加させてもらえない。宗教儀式を強いられ身体的苦痛を受けたり、自殺未遂に追い込まれたり、過干渉どころではなく、虐待であり、人権侵害でした。

 教育関係者が集まる講演会などでこの問題を採り上げても、「触れてくれるな」という雰囲気で、個別に心を痛めてはいても宗教の問題には介入できないようでした。加えて家庭内の問題でもあるので、社会からは二重に見えにくい。見ようとしなければ見えない場所に、苦しみ、もがいている人たちがいました。

 宗教2世という言葉は、当事者が自らの経験を描いた漫画や文章などで使われ始め、当事者がSNSやイベントで横につながることで広がっていきました。名前を付けることで、やっと社会から見えるようになったのです。

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この記事を書いた人
真鍋弘樹
オピニオン編集部|フォーラム編集長
専門・関心分野
社会変動、民主主義、沖縄