第4回コロナ5類「科学ではなく空気で決まった」 西浦教授が指摘する課題
京都大の西浦博教授は、理論疫学者として新型コロナウイルスの国内の流行状況などの予測を手がけてきました。5類移行にむけた議論の経緯や、残された課題を聞きました。
――5類移行の政府の判断を、どう考えますか。
社会活動とのバランスを取ったうえでの政策的な判断として、尊重したいと思います。
ただ、リスクがまだ十分にあるなかでの緩和なので、今後の流行状況はとても心配しています。
社会の雰囲気として危機感が感じられないことにも危惧があります。
――新型コロナはまだ「普通の感染症」とは言えないのですか。
昨年12月に私たちが見解を出したように、従来株よりも重症化しにくいオミクロン株になった後でも、新型コロナと季節性インフルエンザは同等とはみなせません。
致死率だけを並べると、似ているように見えるかもしれません。
しかし、新型コロナとインフルエンザで、致死率の算出に使うデータの集め方は違い、そもそも直接比較はできません。
一方、診断されずに亡くなるケースや医療逼迫(ひっぱく)などによる影響も想定した「超過死亡」をみると、医療の体制が、2022年の新型コロナの流行レベルを受け止め切れていないことは明らかです。
オミクロン株になって、循環器疾患で亡くなる方が増えているかもしれないといった病態の変化や、明確な季節性が見えないということなどもあります。
感染症法上の位置づけが5類…
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