「政治的中立」は政治的意見持たぬことではない 本来の意味と課題

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聞き手 編集委員・豊秀一
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 「政治的中立性」や「政治的公平性」という言葉が飛び交ういまの日本社会。憲法学者で明治大学教授の江島晶子さんに、その本来の意味や使い方を聞きました。

     ◇

 政治的中立という概念はあいまいさを有しています。不用意に使えば萎縮効果を生じさせ、民主主義にとって大切な言論空間の多様性を損ないかねません。

 例えば、政治的中立という言葉がよく用いられるのは一般職国家公務員についてです。しかし、公務員も人として思想良心の自由が憲法で保障され、いかなる考えを持とうとも、心の中にとどまる限り絶対的に自由です。重要なのは、公務員がその職務や立場を利用して、利用しない場合よりも自分の政治的意見を伝えやすくしてはならないことです。民主政治のプロセスをゆがめ、行政の中立的運営を害し、国民の行政への信頼を損なってしまうからです。

 そうならないように法律は公…

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    明石順平
    (弁護士・ブラック企業被害対策弁護団)
    2023年6月26日13時54分 投稿
    【視点】

    「相手の主張が気に入らなくても、まずはお互いの言い分を聞き、譲れる所を見つけ、妥協点に到達するのが民主主義です。」 これは本当にそうあるべきだと思うが、現実的にはかなり難しい。たとえば、ツイッターで政治的な批判ツイートをすると、かなり

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    中川文如
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長)
    2023年6月26日6時30分 投稿
    【視点】

    「民主主義では、とりわけ政府ならびに与党政治家は批判的意見に丁寧に答える説明責任があります。政府の政策だからこそ、税金を使って実現できます。とすれば、批判は現在の政策をより良くするための『エール』と受け止めることもできます」 江島晶子さん

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