地下鉄大江戸線 「新座へ延伸」遠い数キロ
埼玉県新座市の市役所南側には宅地や農地などが広がっている。歩いていると、色あせた横断幕があった。「みんなの力で大江戸線を新座市へ」と書かれていた。
いまの地下鉄大江戸線の終点は、数キロ先にある東京都練馬区の光が丘駅。新座市は、同線が延伸されてこのエリアに新駅ができれば、市内の住民がさらに増えると期待している。
都に隣接する同市では人口が増えている。2020年国勢調査では約16万6千人で過去最多となった。
だが、市は、人口は25年にピークを迎え、その後減っていくとみている。少子高齢化などの影響だ。人を呼び込むには「鉄道駅を中心としたまちづくりが必須」と担当者は強調する。
1997年に所沢市、東京都清瀬市と「延伸促進協議会」を結成。2001年に練馬区も入り、県と都、国に働きかけてきた。
だが、実現のめどは立っていない。16年、国土交通省の交通政策審議会は「光が丘―大泉学園町(練馬区)」と、新座市や清瀬市を通る「大泉学園町―東所沢(所沢市)」の2区間の延伸は「意義がある」と答申した。だが、後者の区間については「事業性に課題がある」と指摘した。
県は需要予測などの調査を重ねているが、大野元裕知事(59)は7月11日の定例会見で、採算が確保できる見通しはまだ立っていないとして、「課題を克服する努力を少しでも進めることが大切」と述べた。
同線延伸を含む交通網の充実は、大野知事の目玉政策の一つだ。協議会は同13日、早期実現を目指して知事に要望書を提出した。
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朝日新聞は知事選の候補者3人にアンケートし、県内の「南北格差」への対応と、保健所の体制について考えを尋ねた。
【南北格差】県によると、7月1日時点の県内の人口は10年前から約11万人増えた。北部や秩父地方で減った自治体が目立つ一方、南部では東京都に近いさいたま市などで増えた。北部の自治体からは地域活性化へのさらなる支援を県に望む声が上がっている。
【保健所の体制】2001年度には保健所が23カ所、支所が4カ所あった。再編が進められ現在は計17カ所。県が13カ所、さいたま、川越、越谷、川口の4市が1カ所ずつ保健所を設置している。新型コロナウイルスの感染爆発時などは各地で業務が逼迫(ひっぱく)した。
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