「手術要件、違憲なら混乱」 最高裁の判断前に、自民議連が声明
トランスジェンダーの人たちの性別変更の要件として、生殖能力を失わせる手術を求める性同一性障害特例法の規定が憲法に違反するかが争われている家事審判に関連し、保守系自民党議員らでつくる議員連盟は8日、仮に最高裁で違憲となれば「大きな混乱が生じる」との声明を出した。
声明をまとめたのは、「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性を守る議員連盟」(共同代表=片山さつき参院議員ら)。斎藤健法相に提出した。声明では「手術要件が違憲ということになれば、(女性の生殖能力を維持したまま、男性への性別変更が可能になるため)法的男性になった後に生物学的な母であり得るなど、大きな混乱が生じる」と懸念を表明した。
手術要件を巡っては、最高裁第二小法廷が2019年に合憲と判断したが、国際的には人権侵害との批判が強い。今回の家事審判では、最高裁大法廷が27日に当事者の意見を聞く弁論を開く予定で、判断が注目されている。
声明ではほかに、手術要件を巡る合憲性の判断が、戸籍制度にも関わることから、法務省が審理に参加して意見を述べることも求めている。斎藤法相に面会後、片山氏は記者団に「(法務省が家事審判に参加して意見を述べるための)法相の明確な権限が読める条文があるわけでもない」「基本法制を所管する大臣の立場として大変影響を受けるため、連携を保ってやっていこうということだった」と述べた。
同じく共同代表を務める山谷えり子参院議員は「(LGBT)理解増進法でも、全ての国民の安心に留意すると書かれているので、(性別適合手術なしで性別変更が可能になれば)問題ではないかという意見が(議連の会合で)噴出した」と語った。
世界保健機関(WHO)などは14年、生殖能力を喪失させる手術の強制は人権侵害だとして、廃絶を求める共同声明を出している。日本の性同一性障害(GID)学会も19年、この共同声明を支持すると表明した。海外では近年、性別変更の要件から手術要件を撤廃する流れがある。