鹿児島県警の内部文書、なぜ札幌に 前部長逮捕の発端は別事件

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小川裕介 前田伸也 冨田悦央
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 内部文書を第三者に漏らしたとして、国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで鹿児島県警の前生活安全部長が逮捕された事件。県警最高幹部の一人だった前生活安全部長の告発を受け、トップの本部長が説明を迫られる異例の事態だ。背景に、何があるのか。

 6月5日、鹿児島市中心部にある鹿児島簡裁。前部長の本田尚志容疑者(60)は、白シャツにノーネクタイのダークスーツ姿で出廷し、マスクをつけて証言台に座った。用意したペーパーを読み上げ、その発言に、法廷に驚きが広がった。「県警職員が行った犯罪行為を、本部長が隠蔽(いんぺい)しようとしたことがあり、どうしても許せなかった」。内部文書を第三者に送ったことを認めた上で、漏らした動機についてそう述べた。

 前部長が「隠蔽」があったと主張したのは、枕崎署員による女子トイレでの盗撮容疑事件と、霧島署員によるストーカー事案。昨年12月に起きた盗撮事件の捜査に着手しようとしたが、本部長が「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」と言って認めなかったと訴えた。ストーカー事案も公表されず、「不都合な真実を隠蔽しようとする県警の姿勢に失望した」とした。

 県警は5月末に前部長を国家公務員法違反(守秘義務違反)容疑で逮捕した際、「在職中に入手した警察情報が印字された書面を第三者に郵送した」と発表したが、郵送先は明らかにしなかった。その後、複数の関係者への取材で、札幌市のライターに送っていたことが明らかになった。

 県警が前部長の漏洩(ろうえい)容疑にたどり着いたのは、あるウェブメディアへの捜査がきっかけだった。

 福岡に拠点を置く「ハンター…

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この記事を書いた人
小川裕介
西部報道センター|事件キャップ
専門・関心分野
核・原子力、感染症、調査報道
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    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2024年6月11日20時32分 投稿
    【視点】

     すでにSNS上では江川紹子さんなどからの指摘がありますが、報道機関を捜索することは取材の自由との関係で尋常なことではありません。現に「ハンター」のサイトでは抗議声明が掲載されています。 https://news-hunter.org/?p

    …続きを読む