旅券の発給拒否、高裁も「違法」 ジャーナリスト安田純平さんが勝訴
トルコからの入国拒否を理由に外務省がパスポート(旅券)の発給を拒否したのは不当だとして、ジャーナリストの安田純平さん(50)が国の処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(三角比呂裁判長)は30日、発給拒否を取り消した一審・東京地裁判決を支持した。
安田さんは2015年、シリアで武装勢力に拘束され18年に解放された。トルコ経由で帰国した後に旅券の再発給を申請したが、外務省は、トルコから入国禁止措置を受けていることを理由に発給を拒否した。
旅券法は「渡航先の法規で入国を認められない者に発給を制限できる」と定める。安田さんは国の処分が「海外渡航の自由」を保障する憲法に反するなどと訴えていた。
高裁は、安田さんへの発給拒否について、トルコや周辺国以外への渡航も全面的に禁止しており、「外務大臣の裁量権を逸脱し違法だ」と結論づけた。
安田さんは判決後の会見で「現状を調べて知らせるのが(ジャーナリストの)仕事。まともに取材をしようとしたら入国禁止は起きる。それを理由に全ての国に行くなというのはおかしい」と語った。
外務省は「判決の内容を十分精査、検討するとともに、関係省庁と協議をした上で、国としての対応を決めたい」とした。
ジャーナリストの常岡浩介さん(55)も、外務省からの旅券返納命令の取り消しを求めた訴訟を続けていたが、東京高裁(三角比呂裁判長)は30日、請求を棄却した一審・東京地裁判決を支持し、常岡さん側の控訴を棄却した。