関東大震災の虐殺、「特定歴史公文書」の保管認める 外務省など
関東大震災での朝鮮人らの虐殺事件をめぐる公文書の扱いについての質疑が17日、参院災害対策特別委員会であった。外務省などの担当者は、各省庁に保管されている記録資料がそれぞれ公文書管理法上の「特定歴史公文書」にあたると認めた。
特定歴史公文書は、歴史的に重要な文書として原則、永久保存が義務づけられている。この日質問に立った立憲民主党の杉尾秀哉氏が挙げたのは、朝鮮人を殺傷した者の恩赦について決めた閣議決定(国立公文書館)▽中国人殺傷について慰謝金を払う方針を現地公使に伝える電文(外務省外交史料館)などだ。
ただ、政府は事件について「政府内で事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」との見解を繰り返している。
殺傷事件についての認識を問われた松村祥史防災担当相は「事実関係について述べる立場にない」としつつ、一般論として「特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動や、そのような動機での犯罪は許されない」と答えた。(編集委員・北野隆一)
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〈訂正して、おわびします〉当初配信した記事で、防衛省保管資料についても担当者が「『特定歴史公文書』にあたると認めた」としていましたが、誤りでした。記事と見出しを修正しました。防衛省によると、保管資料は公文書管理法上の公文書等ではなく、「歴史的・文化的な資料または学術研究用の資料」です。