北朝鮮 複数の飛翔物体を発射

朝鮮半島の南北軍事境界線がある板門店で(3日)

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韓国国防省は3日、北朝鮮が短距離の飛翔物体を複数、日本海に向けて発射したと語った。

国防省広報官が聯合ニュースに語ったところによると、飛翔物体は北朝鮮東部の元山から発射され、日本海に落下した。飛翔物体が何であるかはまだ特定できていないという。

北朝鮮をめぐっては、国連の安全保障理事会が2日に開いた会合で、北朝鮮に対する制裁を大幅に強化する決議を全会一致で採択したばかり。

制裁は、北朝鮮による1月の核実験や2月の長距離ミサイル発射を受けたもので、内容は過去20年間で最も厳しいものになる。

北朝鮮を出入りする貨物を全て検査するほか、16人の個人と12の組織が新たに制裁リストに加わる。

北朝鮮への制裁は全会一致で採択された(2日、国連本部)

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オバマ米大統領は声明で、「国際社会はきょう、一団となって平壌にシンプルなメッセージを送った。北朝鮮はこれらの危険な計画を止め、国民のためによりよい道を選択しなくてはならない」と述べた。

米国のサマンサ・パワーズ国連大使は採択を受け、北朝鮮が国民の生活よりも、核開発やミサイル計画を優先しているのは「道理に合わない現実」だと語った。

北朝鮮と長年の友好関係にある中国は北朝鮮への制裁をめぐり、米国と2カ月近くにわたって協議していた。

制裁には、強制的な貨物検査のほか、小型武器や軽火器の取引禁止も含まれる。また非合法行為に関わった北朝鮮の外交官を国外退去させる。

米国と中国は北朝鮮の金正恩第1書記への圧力を強めようとしている

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韓国上空を飛ぶ米空軍機

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北朝鮮の国営テレビが放送したロケット発射時の映像から(2月7日)

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米国や日本などの西側諸国は、北朝鮮への制裁を早期に実施し、できるだけ幅広い制裁内容とすることを目指していた。

しかし中国は、北朝鮮を不安定にし、同国経済を破綻させるような制裁には反対する考えを明確にしていた。

今回の決議は、市民の多くが経済的に困窮し食料不足に直面するなかで、制裁が「人道的な悪影響」を及ぼすことは意図していないとしている。

一方、北朝鮮の李洙ヨン(リ・スヨン)外相は、安保理が北朝鮮を「標的」とし、「政治問題化させ、選択的な対応をし、二重基準を適用している」と非難した。

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新たな制裁の概要

・北朝鮮の核・ミサイル開発に使われる石炭、鉄、鉄鉱石の禁輸

・金、チタン、バナジウム鉱石、レアアースの全面禁輸

・航空機燃料やロケット燃料の禁輸

・軍事および警察の協力活動の禁止。特にアフリカで実施される北朝鮮による海外訓練プログラムの停止

・水上バイク、スノーモービルなどの娯楽スポーツ用具や高級時計を贅沢品禁輸対象に追加

・金融機関による北朝鮮の核・ミサイル開発に関わる人・組織の資産の凍結を義務化