米南部の2015年教会乱射事件 被告に死刑評決
2015年6月に米南部サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で銃を乱射し、9人を殺害した白人至上主義の被告に対して、同州の連邦地裁陪審は10日、死刑の評決を下した。陪審は3時間近くにわたり評議を行った。裁判長の判決言い渡しは11日に予定されている。
ディラン・ルーフ被告(22)は評決を受けて、控訴する意向を示した。評決言い渡しの前には陪審団に向かって、自分が死刑を免れたとしても「それで何が有益か分からないし」と話していた。控訴についてリチャード・ガーゲル地裁判事は、「非常に同意しかねる」と述べ、今晩じっくり考えるようにと被告に促した。
ルーフ被告は昨年12月、ヘイトクライムを含む33件の連邦法違反の罪状で起訴された。公判中の被告は、反省や後悔の念を示すことなく、陪審団に「やらなきゃならないことだと思っていたし、今でもやらなきゃならないことだったと思っている」などと話していた。
チャールストンのエマニュエルAME教会で殺害された9人の友人や親類の約20人が、評決前に証言し、被告の犯行がいかに自分たちの生活を変えてしまったか語った。ただし、死刑評決を求めた人はいなかった。
乱射事件は米国社会に衝撃を与え、人種関係や、南北戦争で南部連合が掲げた旗を掲げ続けることの是非について議論が再燃した。
被告は事件後、人種同士の戦争を引き起こしたいのだと警察に話していた。また事件前には、南部連合旗の前で銃を構えて写真を撮っていた。
奴隷制を推進した南部連合の旗は、現代では多くの人から人種差別や憎悪行動の象徴とみなされている。
この旗を50年にわたり議事堂に掲げていたサウスカロライナ州は、事件をきっかけにした激しい抗議行動を受けた州法可決の後、2015年7月に撤去された。