プラスチックを食べる毛虫、ごみ減量につながるか
ヘレン・ブリッグス記者(BBCニュース)
プラスチックの袋を食べる毛虫が、プラスチックごみの減量に貢献してくれるかもしれない。
英ケンブリッジ大学の研究チームは、ハチの巣の蜜蝋(みつろう)を食べるハチノスツヅリガの幼虫が、プラスチックも分解できると発見した。
実験結果から、「ワックスワーム」と呼ばれる毛虫(ワーム)は蜜蝋を分解すると似た方法で、プラスチックの化学結合を分解できることが判明した。
世界では毎年、約8000万トンものポリエチレンが作られ、買い物袋や食品の包装などに使われる。しかしポリエチレンが完全に分解するには、何百年とかかる。
しかしハチノスツヅリガの幼虫は、1時間弱でプラスチックの袋に穴を開けることができる。
研究に参加するケンブリッジ大学の生化学研究者、パオロ・ボンベッリ博士は、「毛虫が出発点になる」とBBCに話した。
「この分解作用の詳しい仕組みを理解する必要がある。プラスチックごみの問題を最小化するため、技術的な解決策を提示したいと思っている」
ボンベッリ博士と、スペイン国立研究共同協議会のフェデリカ・ベルトッキーニ博士は、共同研究者としてこの発見の特許を取得した。
研究チームは、プラスチックを自然分解する化学作用を早急に解明しようとしており、幼虫の中にいる微生物が関係しているのではないかとみている。
化学作用が特定できれば、自然環境におけるプラスチックごみ減量の解決につながる可能性もある。
「この発見をもとに、プラスチックごみをなくすための有効な方法を見つけ出し、プラスチック累積による避けがたい汚染被害から海や河川、自然環境全てを救うため、解決方法を確立していきたい」とベルトッキーニ博士は言う。
「ただし、自然分解方法が見つかったからといって、わざとポリエチレンを環境に好きなだけ投棄してもいいということにはならない」と博士は付け足した。
研究論文は学術誌「カレント・バイオロジー」に掲載された。