「クーデターのようだ」 ジンバブエ情勢でアフリカ連合

首都ハラレで交通整理をする兵士ら

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アフリカ南部ジンバブエで軍がロバート・ムガベ大統領を軟禁するなど権力を掌握したことについて、アフリカ連合(AU)のアルファ・コンデ議長は15日、「クーデターのようだ」と指摘し、憲法秩序の即時回復を要求すると述べた。

軍はクーデターではないと主張。ムガベ大統領周辺の「犯罪者たち」への対処が目的で、大統領は無事だとしている。

ジンバブエでは、ムガベ大統領の後継者問題をめぐる権力闘争が激しくなっており、エマーソン・ムナンガグワ第1副大統領が先週解任された。ムガベ大統領の妻、グレース・ムガベ氏が後継者の最有力とみられたが、脇に追いやられたと受け止めた軍の指導部は同意していなかった。

現在93歳のムガベ大統領は英国の植民地だったジンバブエが独立国家となった1980年以来、権力の中枢に居続けている。

AUのコンデ議長(ギニア大統領)は声明で、ジンバブエ軍の兵士らが「権力を掌握しようとしたのは明白」だとし、AUは状況を「非常に懸念」しており、「法的諸制度への完全な支持をあらためて表明する」と述べた。

ジンバブエで取材するBBCのアン・ソイ記者は、エジプトは2013年のクーデター後にAUの参加資格を停止されていることを例に挙げ、ジンバブエ軍は自分たちの行動をクーデターではないと主張することでAUとの対立を避けようとしているのではないかと指摘した。

国内で緊張が高まり、うわさが流れるなかで軍の兵士たちは14日遅くに国営放送局のZBCを占拠。シブシソ・モヨ少将がテレビ演説し、軍は大統領周辺の「犯罪者たち」を標的していると語った。モヨ少将は、「軍が政府を掌握するのではない」と主張した。

モヨ少将はさらに、ムガベ大統領とその家族は「無事で安全が保証されている」と述べた。

軍の行動を誰が指揮しているのかは不明。放送局占拠後、首都ハラレの街中には軍の車両が配置され、ムガベ大統領や多くの政府関係者が住む北部近郊では銃声が聞こえていた。

南アフリカの大統領府は声明で、「(ジェイコブ・)ズマ大統領はきょう、自宅に軟禁されているものの、無事だと語るロバート・ムガベ大統領と話した」と述べた。

ムガベ大統領やグレース夫人から直接のコメントは出ていない。グレース夫人の居場所は分かっていない。

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なぜこのような状況になったのか

ムガベ大統領とムナンガグワ副大統領との間の対立によって、与党のジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)は分裂状態にあった。

グレース夫人の解任を求めたムナンガグワ副大統領が先週解任されると、13日には、コンスタンティノ・チウェンガ国軍司令官が、与党内の粛清を終わらせるため軍は行動を起こす用意があると述べた。

チウェンガ司令官とムナンガグワ副大統領は、少数派白人による支配を終わらせた1970年代の闘争で一緒に戦った仲で、盟友関係にある。

チウェンガ司令官の発言を受け、ムガベ大統領を支持するZANU-PFの青年部を率いるクドザイ・チパンガ氏は軍は「兵舎にいるべきだ」と反発していた。

しかし、公営放送ZBCは、チパンガ氏がチウェンガ司令官ら軍指導部に謝罪し、「我々はまだ若く、間違いを犯す」と語ったと報じた。