米若手議員の大学時代のダンスを保守派が批判 議員はダンスで対抗
クリス・ベル、BBCニュース
史上最年少で米連邦下院議員となった民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(29、ニューヨーク州選出)のあらゆる全てを批判せずにはいられない人たちが、ソーシャルメディアにはいる。
これまでも、オカシオ=コルテス議員の服装や、金持ちではないことなどが、槍玉に挙げられてきたが、今年に入り今度は、大学時代に踊っていたことがとんでもないことだと避難された。
3日に第116回連邦議会が開会する前日、オカシオ=コルテス議員がボストン大学時代に踊っている10年近く前の動画がツイッター上で拡散された。恐らく、議員に恥をかかせるため。
これに対してオカシオ=コルテス議員は4日、「共和党は、踊る女はけしからんと思っているそうで。だったら、女性下院議員も踊ると知ったらどうなるかな!」と、議員事務所前で踊る動画を投稿した。
BGMは、エドウィン・スターの「War(邦題:黒い戦争)」だ。
議員がツイートしたこのビデオは7日現在、2000万回近く再生された。
一方で、議員の学生時代のダンス動画を「ニューヨーク、おめでとう」と皮肉っぽく紹介したツイートでは、ビデオは1100万回以上再生されている。
右派のツイッターアカウントは、議員を皮肉るツイートを拡散して、「アメリカお気に入りの知ったかぶりアカが、まぬけ面をさらしている」と書いた。
別のツイッターユーザーは、「アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが一期だけで議席を失ったら、ポールのあるステージで踊ればいい」と投稿した。
しかしこうした批判に対抗して、大勢がオカシオ=コルテス議員を擁護し始めた。
ツイッターユーザーの@jokork9は、「何てことだ、高校生が歌って踊る? これで誰が不快になるって? 『フットルース』に出てくる牧師かな?」とコメントした(編注:「フットルース」は、ダンスが禁止された町が舞台の映画)。
コメディアンのパットン・オズワルド氏もツイッターで、「(オカシオ=コルテス議員は)終わった。彼女はこれからずっと、すごく可愛く踊って友達とわいわい遊ぶ人だって、レッテルを貼られ続けるんだ」とジョークを飛ばした。
「スター・トレック」に出演していた俳優のジョージ・タケイ氏は「アレクサンドリア・オカシオ=コルテスにダンスを習いたい」と書き、同じく俳優のラッセル・クロウ氏も、オカシオ=コルテス氏は「すばらしい」と称賛した。
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話題となった動画は2010年にYouTubeに投稿された動画から切り取られたもの。
当時話題だった、1980年代の青春映画「ブレックファスト・クラブ」に出てくる踊りを、フランスのインディーズバンド「Phoenix」の歌に合わせたマッシュアップ動画で、オカシオ=コルテス議員を含むボストン大の学生が複数参加している。
米紙ザ・ヒルの取材でオカシオ=コルテス議員は、「踊りがうまい議員だと定評を得るのは珍しいことなので、喜んでお受けします」と話した。
「何かを楽しむなど(議員として)不適格だ、違法だと、共和党がそう思うのは別に驚かなかった」
米中間選挙の民主党予備選で退役軍人のジョー・クローリー氏に勝利して以来、オカシオ=コルテス議員は特にオンラインの保守派からことさらに注目されている。
オカシオ=コルテス議員が資金的に苦労していると発言して以来、保守派はその信憑性(しんぴょうせい)を疑う批判を繰り返している。
たとえば昨年11月には、米誌ワシントン・エグザミナーのジャーナリストがオカシオ=コルテス議員を背後から撮影した写真と共に、「ほら、どうかな。そのジャケットとコートじゃお金に困ってる娘には見えないな」とツイート。「性差別的」だと批判され、後にツイートを削除した。
フォックス・テレビの番組司会者、ケイティー・パヴリッチ氏はオカシオ=コルテス議員が雑誌の撮影で高価な服を着ていたことに言及し、同議員が「偽善のかたまり」で、「社会主義者にしては成金趣味だ」と批判した。なお、オカシオ=コルテス議員はこの衣装をもらい受けていない。
最近では、右翼系サイト「ゲートウェイ・パンディット」が、オカシオ=コルテス議員を裕福なエリートに見せるため、高校時代の生徒アルバムから写真を複数投稿した。
しかし、オカシオ=コルテス氏の広報担当は昨年11月、本人の預金額は7000ドル(約75万円)だとCNBCに語った。