フランス、制限を大幅解除へ 新型ウイルスに「最初の勝利」
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は14日、新型コロナウイルス対策の制限を大幅に解除すると発表した。
15日から、国内各地のカフェやレストランの営業が認められる。ヨーロッパの他国への移動も可能になる。
新型ウイルスの感染症COVID-19の流行が特に顕著な、高齢者施設にいる家族との面会もできるようになる。
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15日には欧州連合(EU)のいくつかの国が、加盟国間の移動を再開させる。
学校は22日に再開へ
マクロン氏はこの日のテレビ演説で、フランスは「最初の勝利」を収めたと宣言した。ただし、新型ウイルスは戻って来るとして注意を呼びかけた。
「明日になればただちに、国内全域で第1章の終わりを迎えられる」
フランスの多くの地域では今月に入り、他人との距離の確保に関する規則を守ることを条件に、レストラン、ホテル、カフェの営業再開が認められている。
マクロン氏は、新型ウイルス感染者が国内で最も多く確認されたパリ地域でも、15日から同様に緩和を実施すると述べた。
また、高校を除く学校を今月22日に再開すると方針を示した。
マクロン氏は、「新型ウイルスが消えたわけではないし、対策を完全にやめていいわけではない。2020年の夏は、これまでとまるで違う夏になる。感染流行が力を増して戻ってくる事態に備えて、変異に注意していく必要がある」と付け加えた。
国境を開くEU各国
欧州委員会は域内各国に15日から国境を開放するよう促しているが、開放を発表した国はまだ少ない。
ベルギー、クロアチア、スイス、ドイツは15日に国境を全面的に開放する。国境警備に当たっていた警察などは撤収する。
チェコは26カ国との無制限の行き来を認めるが、ベルギー、ポルトガル、スウェーデン、イギリスからの渡航者の入国禁止は継続する。
すでに国境を開放しているギリシャはさらに、オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国などの国々からの渡航者を受け入れる。
イタリアは今月3日に国境を開放。ポーランドも同13日にEU域内からの入国を認めている。
スペインのペドロ・サンチェス首相は、今月21日からポルトガルを除くEU加盟国との間で、自由に移動できるようになると述べた。ただ、観光業界の活性化策として、15日からバレアレス諸島への訪問を、ドイツ人観光客に限って認める。
ポルトガルとの国境は来月1日まで閉鎖を続ける。
オーストリアは今月16日に渡航規制を解除するが、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリスからの渡航者には規制を継続する。
スウェーデンとルクセンブルクはまだ1度も国境を開放していない。
フランス統一選、28日実施へ
マクロン氏は、3月の当初予定から延期していた統一地方選の第2回投票を、今月28日に実施すると述べた。
しかし、大勢の人が集まるのは「新型ウイルスが拡散される主な原因」だとし、「厳しく管理」していく必要があると述べた。
フランスは今回の発表により、警戒レベルが本土全域で「グリーン」になった。一方、海外の仏領マヨットと仏領ギアナは「オレンジ」のままになる。ともに感染者が多く、医療体制がひっ迫している。
フランスでは新型ウイルスの死者が2万9400人を超え、確認された感染者は約19万4000人となっている。ただこのところ、新たに確認される感染者数は大幅に減少している。
マクロン氏は3月17日に厳しいロックダウン(都市封鎖)を実施。5月11日に慎重な緩和に乗り出した。
今回の発表は、ロックダウン以降で最も大きな制限解除となる。