ウクライナへの兵器供与を拡大 西側諸国が表明
ウクライナ東部でロシア軍が新たに攻勢を強めていることを受け、ウクライナを支援する各国は19日、兵器供与を拡大すると表明した。
西側各国の首脳はこの日、約1時間半にわたってビデオ会議を開いた。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本、ポーランド、北大西洋条約機構(NATO)のトップらが参加した。
その中で英米両国の首脳らは、大砲や、対戦車および防空の兵器をウクライナに供給すると約束した。
ウクライナ東部では、ロシアが新たな作戦を開始している。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「ドンバス地方の戦い」が始まったとし、自国防衛のために兵器が必要だと訴えている。
英米独の軍事支援
イギリスのボリス・ジョンソン首相はビデオ会議後、ウクライナでの戦争について、「砲撃戦になるだろう」との見方を議会で示した。
「(ウクライナは)より多くの大砲による支援を必要としている。私たちはそれを提供する」
アメリカのジョー・バイデン大統領も、ウクライナに大砲を追加供与する考えを表明した。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は、ウクライナが対戦車兵器や弾薬をドイツの兵器メーカーから購入できるよう、資金を提供すると述べた。
そして、「ロシアの攻撃を押し返せるようウクライナ軍を強化するのが目的だ」と説明した。
一方、チェコは、戦闘で損傷したウクライナの戦車と装甲車を修理する方針を示した。
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米政府が軍用機を供給
アメリカはすでに、ウクライナへの8億ドル(約1030億円)規模の追加の軍事支援を決定している。その第1弾が今週、ウクライナ国境地帯に到着した。
ロシアはこれに強く抗議している。セルゲイ・ショイグ国防相は、「アメリカとその管理下にある西側諸国は、軍事作戦を可能な限り引き延ばすことに全力を尽くしている」と述べた。
この日のビデオ会議後に米国防総省は、これまでウクライナに直接供与していなかった軍用機やその部品を同国に供給したと明らかにした。
ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカに対し、戦闘機などの提供を求めてきた。
米メディアによると、バイデン米大統領は会議後、先週発表した8億ドル規模と同程度のさらなる軍事支援をウクライナに提供する予定だと記者団に話した。
制裁についても協議
米政府によると、この日のビデオ会議では、「ロシアの責任を問うために厳しい経済コストを負わせるための協調した努力」についても協議したという。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「私たちはロシアに対する制裁を一段と強化する」と述べた。ただ、詳細は明らかにしなかった。
仏政府高官によると、ウクライナはNATO加盟国ではないものの、戦争終結後のウクライナの安全保障も会議の議題になったという。