オバマ氏、ウォール街で高額謝礼付き講演-大統領退任から1年足らず
Max Abelsonヒラリー・クリントン氏は政権を去った後にウォール街で講演したことについて、判断を誤ったとの考えを示している。昨年の大統領選を振り返った回顧録で同氏は、謝礼を受け取ったことで金融機関の側に立っているとの印象を抱かせたと記した。
だがクリントン氏の元上司はそうした懸念は抱いていないようだ。
クリントン氏の大統領選回顧録「What Happened (仮訳:何が起きたのか)」は今月米国で発売されたが、8月にオバマ前大統領は信託銀行ノーザン・トラストから約40万ドル(約4450万円)を受け取り、同行の顧客向けに講演を行ったと、事情に詳しい関係者が明らかにした。また先週には世界有数のプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社カーライル・グループで、ホワイトハウスで過ごした日々について講演したと出席者2人が述べた。来週には投資銀行キャンター・フィッツジェラルド主催のヘルスケア会議で基調講演を行う。
オバマ氏はホワイトハウスを去ってから1年を待たずにウォール街に姿を現した。歴代の大統領がたどった、実入りの良い道を同氏も歩んでいる。もう大統領に立候補することはできないが、オバマ氏の言動は企業寄りの姿勢をめぐって二分された民主党で引き続き強い影響力を持つ。こうした金融機関での多額の謝礼付き講演は、クリントン氏と同じ轍(てつ)を踏まないでほしいと願う人を失望させる可能性がある。
早い時期からオバマ氏を支持し、今年に入りオバマ・ファンデーション取締役会に加わった元UBSグループ幹部のロバート・ウォルフ氏は、オバマ氏について「米国全体の大統領だった。金融サービスもその傘の下に入る」とし、「彼はウォール街のことを『米国にとって最善のことを望んでいない連中だ」などとは見ていない。型にはめることはしない人だ」と述べた。
オバマ氏のスポークスマン、ケビン・ルイス氏は、オバマ氏がホワイトハウスを去って以降に行ってきた講演は公的・民間いずれにおいても「自身の価値観に誠実な」内容だと電子メールで説明。さらに「低所得の若者に職業訓練や雇用機会を提供するシカゴでのプログラムにオバマ氏がこれまで200万ドル寄付できたのも、講演で受け取る謝礼があったからだ」と加えた。
原題:Obama Goes From White House to Wall Street in Less Than One Year(抜粋)