米国が顕著に改善-コロナ時代に最も安全な国ランキング
Rachel Chang、Jinshan Hong、Kevin Varley-
米国は8位順位を上げ27位-バイデン新政権下で経済も改善
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豊かな国と貧しい国のランキングの差が拡大-ワクチン集中が要因
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世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(COVID19)をパンデミック(世界的大流行)と宣言してからほぼ1年になる。米国と一部の欧州諸国が感染の最悪期を脱しつつあり、ブルームバーグがまとめる新型コロナ時代の世界で最も安全な国・地域の番付、COVIDレジリエンス(耐性)ランキングでも順位を上げている。
早急なワクチン接種の取り組みが日々のニュースの中心になっているが、米欧のランキング改善は主に、マスク着用や外出自粛などの封じ込め措置の結果だ。米国はバイデン大統領率いる新政権の下で経済も予想以上のペースで回復する構えとなっている。2月のランキングでは8位順位を上げ27位となった。
パンデミックの勢いは世界全体で鈍化し、感染増加ペースは昨年10月以来の低水準となった。しかし西側主要国の経済は発展途上国に比べ速いペースで改善し、豊かな国と貧しい国のランキングの差が拡大している。ワクチン供給が豊かな国に偏っていることを踏まえると、この差は今年を通じて続く公算が大きい。
経済や社会に最も痛手が少ない形でコロナに最も効果的に対応している国・地域を特定するため、ブルームバーグは毎月データを算出する。
島国という環境と4件のワクチン供給契約を持ち国内感染をほぼ根絶したニュージーランドは、2月も1位を維持した。首位は4カ月連続だ。
昨年11月の初回ランキングから10位以内を維持するニュージーランド、台湾、オーストラリアなどでは引き続き、新型コロナの早期の実質的根絶または封じ込めがより高い生活の質につながっている。これら上位諸国・地域はワクチン接種で米・英・欧州に後れを取っているにもかかわらず、世界の他の国・地域に大きな差をつけている。
フランスやベルギー、イタリアなど豊かでありながら下位10カ国に入っていた国々は、昨年11月以降徐々に順位を上げ、代わって南アフリカ共和国やインドネシアが低位になった。ランキングの下位3分の1は現在、中南米とアフリカの発展途上国が占めている。
多くの感染者を抱えながら感染の最悪期を脱した様子のインドには科学者も首をかしげているが、死者数の減少で16位と2つ順位を上げた。
富裕国がワクチンの多くを確保していることから、貧困国の番付が今後数カ月に改善することは難しそうだ。メキシコは最下位の53位にとどまっている。WHOのテドロス事務局長はこうした状況を「破滅的な道徳的失敗」と呼んだ。
ワクチン接種で世界をリードするイスラエルは、メッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いたワクチンが死者数を減らすばかりでなく感染ペースを遅らせる効果があることを証明しつつある。ただ、同国の速いワクチン接種のペースも感染力の強い英国の変異ウイルスの拡大を抑えるには至らず、今月は14位と順位を1つ上げるのにとどまった。ウイルスの変異が引き続き脅威であることを浮き彫りにしている。
米国は死者数が50万人という不幸な節目を超えたものの、感染拡大の転換点にある可能性がある。新規感染は1カ月前に比べ半分程度に減り、死者数も減少傾向にある。米国の一部で政治の道具となっていたマスク着用だが、ワシントン大学医学部の保健指標評価研究所(IHME)によれば今では全米での着用率が77%と過去最高に達している。
バイデン大統領はウイルス検査とワクチン配布に関する米国のアプローチを刷新・統一するための大統領令に署名。当局者は全成人の接種に十分なワクチンを7月末までに確保できるとしている。
エコノミストは2021年の米国の国内総生産(GDP)成長率予想を中央値で4.9%と先月の4.1%から上方修正した。来月成立する見通しの1兆9000億ドル(約201兆円)規模の追加経済対策によって支出と雇用がV字回復を示すと見込まれている。
米国および他の西側主要国が今回の改善を継続できるかが3月のランキング更新の焦点になる。
原題:Best and Worst Places to Be in Covid: U.S. Stages a Recovery(抜粋)