グーグル新量子チップ、スパコンで10の25乗年かかる計算を5分で完了
Jane Lanhee Lee-
1万年かかるタスクを数分で処理していた5年前から飛躍的に進歩
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グーグル、従来型では解決できない現実世界での使用事例提供が目標
米アルファベット傘下グーグルの量子コンピューターは、スーパーコンピューターならおよそ10の25乗年かかる計算をわずか5分で完了することができる。グーグルの次の課題はその理論上のパワーを実際に活用することだ。
グーグルによると、新たな量子チップ「ウィロー」を搭載した同社のコンピューターがベンチマークアルゴリズムの実行でスーパーコンピューター「フロンティア」よりも勝った。フロンティアでは宇宙の誕生から現在までの年月よりもはるかに長い10の25乗年かかる作業を数分でこなしたという。
1万年かかるタスクを数分で処理していた5年前のパフォーマンスから飛躍的に進歩した形だ。
量子コンピューターの能力をテストするために設計されたこのアルゴリズムに実用的な用途はないが、それは重要ではないと、グーグルクオンタムAIの創設者、ハルトムート・ネベン氏は言う。
ネベン氏はインタビューで「少なくとも一つの課題で勝つことができないのなら、実用的な課題でも勝てない」と指摘。グーグルは来年、従来のコンピューターでは解決できない現実世界での使用事例を提供することを目標にしているとし、「それが今や手の届くところまで来ている」と述べた。
各国政府のほか、世界的なテクノロジー大手やベンチャーキャピタリストなどが、従来のコンピューターより数百万倍も優れた計算速度がもたらす商業的、軍事的優位性の可能性に引かれ、量子コンピューターに巨額の資金を投じている。
しかし、量子コンピューターは素粒子の挙動を利用するため、粒子が周囲と相互作用しない環境で動作させる必要があり、ほとんどの実験では絶対零度に近い温度が前提となっている。このような制限により、この技術の現実世界での実用的な応用が難しく、エラー率の高さによって大規模な量子コンピューティングの実行が困難になっている。
英科学誌ネイチャーで9日に発表された論文によると、ウィローによってエラー率が低下するという。ネベン氏は、これにより、より大型の量子コンピューターの構築が可能になると語った。
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