スターバックスコーヒーの商品と二郎系ラーメンのカロリーが「ほぼ同じ」とする内容のツイートが最近、広く拡散した。
BuzzFeed Newsはファクトチェックして、ツイートの内容は誤りと指摘した。
少し考えれば誤りと分かるものが、なぜ拡散したのか。逆に言えば、「カロリーを気にする人は多い」という見方もできるかもしれない。
では、「健康的で幸福な食生活」とはどうあるべきか。
BuzzFeed Newsは、ファクトチェックに協力していただいた、「日本パーソナル管理栄養士協会」(千葉県)の三城円・代表理事に聞いた。
二つの商品のカロリーを比較したツイートは、広く拡散した。
これは、「カロリーを気にする人は多い」という見方もできるかもしれない。
では、「健康的で幸福な食生活」とはどういうものか。三城さんに詳しく聞いた。
ーー三城さんが考える「幸福な食事」とはどのようなものでしょうか。
がっつりと二郎系ラーメンも食べられるし、ヘルシーな食事も楽しめることが大事だと思います。
「カロリー」という数字を追いかけすぎるのは、健康の維持という本来の目的を見失うため、あまり「健康的」ではありません。
ーー過度なダイエットにつながるということでしょうか。
そうです。私自身、過去にダイエットを突き詰めすぎて摂食障害に苦しんだ経験があります。
あまり太っていたわけではなかったのですが、食に興味があったことから食事を管理していきました。
周囲から「痩せたね」と言われることが快感になり、とにかくカロリーという数字が気になっていった。
最終的には1日100カロリーしか摂らないようになっていたんです。
ーー1日100キロカロリーですか……。それは驚きです。
「コーヒー1杯は9キロカロリーになる」とか考えていました。食べることが怖ったんですね。
当初は「痩せたね」と言われていましたが、どんどん痩せていくと、周囲は病気を疑って何も言ってくれなくなります。
自分自身でも食生活が異常だと気づけず、結局倒れてしまいました。
ーーそこから通常の食生活に戻していくのですか。
体調を良くするために、しっかりと食事を摂っていこうと思い直したんですが、実はそこからも大変だったんです。
「食べたい」という欲求があるにもかかわらず、胃が固形物を全く受けつけない状態になっていました。
食べたいのに体が拒否して食べられない。これは体重を減らすよりもキツかったかもしれません。
ーーご自身の経験から、どのような食生活が望ましいと思いますか?
「本当の健康とは何か」を考えることが重要です。
毎朝体重を測り、「増えた」「減った」と一喜一憂するのではなく、1食でストイックになりすぎないようにしなければなりません。
二郎系ラーメンに限らず、ガッツリとした食事を「楽しめる」ことも、健康的な証です。
ーー1食でストイックになりすぎないというのはどういう意味でしょうか。
私が実践していることですが、例えば「昼は高カロリーなものを食べたから前後で帳尻を合わせよう」と考えています。
そして、それを1日から1週間に広げ、7日間21食で計算する。「この日は食べ過ぎてしまったから次の日は少し抑制しよう」といった感じです。
食べ過ぎた日もあると思います。それ以外の日に調整すればいいと思っています。
ーーなるほど。満腹になると幸福感も増します。1週間で食事のスケジューリングをしていけばいいんですね。
内臓も筋肉です。老化していくと、例えば「焼き肉でカルビが食べられなくなる」といったことをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
これは消化機能が低下しているからですが、ある意味「二郎系ラーメンをガッツリと食べられる人は胃腸が強い」と思います。
そのくらいの元気さがあるということは一つの健康かなと思います。
ーー1週間で帳尻を合わせていくということですが、基本的な1日の摂取カロリーはどれくらいが望ましいのでしょうか。
活動量が普通な男性(18〜49歳)であれば、1日の摂取カロリーは2650〜2700キロカロリーが望ましいとされています。
現在は新型コロナウイルスの関係でテレワークの人も多いと思いますが、その場合は2300キロカロリー程度が良いです。女性は1750〜2000キロカロリー程度です。
基本的にこの範囲でバランスよく食事をすることが大事ですが、たとえこの理想的な数字を超えてしまった場合でも、1週間というスパンで考えて帳尻を合わせていけばいいと思っています。
ーーカロリー以外にも考える必要はありますか?
三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)も大事ですが、何かに偏らずビタミンやミネラル、食物繊維といった栄養も摂っていくことが望ましいです。
例えば、過度に炭水化物を制限すると、それに伴って食物繊維の摂取量が減ってしまいます。
つまり様々な食事を楽しんでいくことが重要です。
「今日は食べすぎたからだめだ」「体重が増えてたからもうだめだ」とストイックになりすぎず、心も体も健康的な食生活をしていくことが「幸福」につながると考えています。