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Q
小さな会社に勤めています。この会社は、大手企業からの発注業務をこなすことによって経営が成り立っています。社長は良い人で、従業員のためだと言って時短や年休付与についても一生懸命になっていてくれます。ところが、最近、発注元が自社の生産性を上げるためとして、発注業務の納期が厳しくなる一方で、残業が増えることや、取ろうとしていた年休が取れなくなってしまうことがよくあります。このような発注元の行為について規制はないのでしょうか?
A
ご指摘のような大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」の防止が、下請等中小事業者における働き方改革において重要な課題となっています。このため、厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会が連携を図って、下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策を講じています。
労働時間等設定改善法は、事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと、他の事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けないこと等取引上必要な配慮をするように努めなければならない、と規定しています。更に、同法に基づくガイドラインは、中小企業等において時間外・休日労働の削減に取り組むに当たっては、個々の事業主の努力だけでは限界があることから、長時間労働につながる取引慣行の見直しが必要であるとして、事業主に、他の事業主との取引を行うに当たっては、①週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入等の短納期発注を抑制し、納期の適正化を図ること、②発注内容の頻繁な変更を抑制すること、③発注の平準化、発注内容の明確化その他の発注方法の改善を図ること、等への配慮を求めています。
厚生労働省では、都道府県労働局・労働基準監督署等の窓口において、下請等中小事業者から、大企業等の働き方改革に伴う「しわ寄せ」に関する相談が寄せられた場合や、下請等中小事業者に対する監督指導時等において、大企業等の働き方改革に伴う「しわ寄せ」に関する情報を把握した場合には、相談情報を地方経済産業局に情報提供しています。また、労働基準関係法令違反の背景に、極端な短納期発注等に起因する下請法等違反が疑われる事案について、厚生労働省から公正取引委員会・中小企業庁に通報することとしています。
公正取引委員会・中小企業庁は、下請代金支払遅延等防止法違反の疑いのある「しわ寄せ」事案など指導等を行った事案及び不当な行為の事例集(いわゆる「べからず集」)等を用いて、大企業等を対象とした各種説明会等の機会を活用し、啓発を行っています。