長引くコロナ禍に加え、大型連休の後に心の不調を訴える人は多い。自殺とみられる著名人の死が相次ぎ、その影響も懸念されている。「精神的なストレスを感じた時に誰かと話すことが大切」と訴えるのは、自殺予防に取り組む社会福祉法人「千葉いのちの電話」(千葉市中央区)。最近はコロナ関係の相談も増えているといい、斎藤浩一事務局長(66)は「話せる人がそばにいなかったら私たちに話して」と呼びかけている。
千葉いのちの電話によると、昨年度の相談件数は約1万2千件。この半数が精神疾患を患った経験がある人や治療中の人だった。電話の中で自殺を考えていると話した「自殺傾向」の割合は、精神疾患のない人に比べ4倍に跳ね上がる。
相談内容別で自殺傾向率が高いのは、「精神状態不安定」が22・1%、お金がないなどの「経済的困窮」が15・6%、将来が不安、未来が見えないなどの「人生」が18・2%だった。相談者は、責任ある立場に就く40~60代が多いという。
コロナ関係の相談も相次いでいる。生活様式の変化がストレスにつながっているといい、子どもから大人まで全ての世代に当てはまる。「外出自粛で家庭内がギスギスしている」「コロナで職を失った」「収入が減って生活が脅かされている」といった内容が目立つ。斎藤事務局長は「コロナは一過性の問題ではない。深刻度合いが増している」と危機感を示す。
相談者は、電話を切るときに「話して良かった」「肩の荷が下りた」と話すという。斎藤事務局長は「誰かに話す、聞いてもらうだけでも違う。話せる人がいなかったら私たちに話して」と語りかけた。
熊谷俊人知事は12日の定例記者会見で、長期休暇明けに精神が不安定になるケースが散見されるとし、「学校、職場でメンタル的なサポートが必要。芸能人など有名な人が自殺した場合は影響を受ける方々もたくさんいる」と指摘。「苦しくなる前に早期に相談してもらうことが一番大事。県などの相談窓口をしっかり周知していきたい」と述べた。
「千葉いのちの電話」の相談専用電話は(電話)043(227)3900。日曜-火曜は午前7時半~午後6時半。水曜-土曜は午前7時半~午後9時半。