Jリーグとは違って『降格あり』…7・4開幕の関東大学サッカーリーグがこだわった信念「いつも通りを!」
2020年6月17日 21時39分
例年通りの2回戦総当たり制
第94回関東大学サッカーリーグ戦(東京中日スポーツ後援)が7月4日に開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当初の予定から3カ月遅れでのスタートとなった。コロナ対策の観点から、とりあえず前半戦は茨城県龍ケ崎市での集中開催。流通経大の施設など、4会場を使用して行う。また、各大学本部の方針などにより、チームによっては序盤戦の試合を先送りにし、途中からの参戦となる。異例のシーズン開幕を前に、関東大学サッカー連盟の中野雄二理事長(57)=流通経大監督=に話を聞いた。(関孝伸)
他地域の大学サッカーリーグに先駆け、関東が7月開幕に踏み切った。例年通りとなる2回戦総当たりの全22試合制で、12月まで戦う。関西や九州などの大学リーグは1回戦制に縮小しての秋からの開催を4月の段階で決定していたが、関東は2回戦制にこだわった。
「学生のために、特に4年生のために、いつも通りのリーグ戦をやらせてあげたいと思った」
中野理事長は2回戦制を変えなかった理由をこう話す。しかし、単なる感情論だけでそのようにしたわけではない。
秋からの開催だと、コロナの第2波に襲われた場合にリーグ戦が中止や打ち切りになる可能性があるが、夏場から始めたなら、悪くても1回戦総当たりの試合数はこなせるだろうと踏んだ。途中でアクシデントが起きることも想定内とし、参加全チームが他チームすべてと1回は対戦して11試合以上を消化すれば、リーグ戦は成立するとの規定を設けた。仮に各チームの試合数にばらつきが出た場合には、勝ち点数を試合数で割る「勝ち点率」で順位を定めることにした。
同日に再開されるJ1が「今回はJ2への降格なし」という特別措置で実施されるのに対し、関東大学リーグでは下位2チームが従来通りに下部に自動降格する。「降格がある方がいわゆる消化試合が少なくなるので、真剣勝負が最後まで続く」と、「降格あり」の意義を説明した中野理事長。この点にも「いつも通りに行う」ことへのこだわりがうかがえる。
もちろん、コロナ対策に余念はない。19ページにおよぶ「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を作成し、考え得る最善の安全策を講じて臨む。
チームによっては公共交通機関を利用していた選手の会場入りについては、当面の間はマイクロバスやチャーターバスで移動することを義務づけた。また、会場に入れる人数を最小限に抑えたため、普通の光景だった控え部員による応援は見られない。選手の家族も観戦できないが、全試合を無料ネット配信する方向で現在調整している。
開幕日が決まったことで、「選手たちは喜んでいる」(中野理事長)という。今はただ、これ以上は何も起こらず、第22節まで熱い戦いが繰り広げられることを祈るばかりである。
関連キーワード
おすすめ情報