キムチ、ビビンバ、チゲ(鍋)など、日本でも有名な韓国料理はいろいろあるが、焼肉はその代表格。だが韓国の焼肉は、日本のそれとはちょっと違う。たとえば日本では焼肉といえばたいてい牛が主役だが、韓国では豚が人気。牛肉は高いわりにそれほど美味しくない、というのが地元の人の弁だ。
豚肉のなかでも、とりわけ人気があるのがサムギョプサル。赤身と脂身が層になった豚の三枚肉で、ジューシーな味わいがクセになる。最近ではワインで漬けたものやハーブ風味など、趣向を凝らしたサムギョプサルも多く登場。私も韓国に行くと必ず食べているが、先日ちょっと変わったサムギョプサルに出くわした。それが「餅包みサムギョプサル」なるもの。
韓国では焼肉を何かで包んで食べることは珍しくない。だが、それは基本的にサンチュやエゴマの葉であって、餅で包むというのは初めて。
夜も遅めの時間だというのに、店は多くの人で賑わっていた。
ちなみにこの店では、キムチも一緒に鉄板に乗せて焼いていた。実はこれも初体験だったのだが、韓国在住の友人いわく、
「最近ではサムギョプサル用のキムチも売られているよ」
とのことで珍しいものではないよう。肉汁がじわりと浸みこんでいて美味しい。
韓国ではひとくちに焼肉といっても専門店にわかれているのが普通だ。サムギョップサルならサムギョプサル屋へ、豚のカルビ(デジカルビ)ならデジカルビ屋へ、といった具合。実はこの日も一軒目に別の焼肉屋に行ったのだが、その店にサムギョプサルがなく場所を移した。焼肉屋のハシゴなんて、日本じゃまずやらないけど。
餅包みサムギョプサルソウルを味わえる店としては「トッサムシデ」が有名で、ソウル市内に多数店舗あり。ソウルで大人気の新鮮な味覚、一度試してみては?
(古屋江美子)