カネマサフィル(KANEMASA PHIL.)の2025年春夏コレクションを紹介。
カネマサフィルは、1964年創業の老舗ニットメーカー「カネマサ莫大小」から生まれたニットブランドだ。特注ジャガード丸編機を用いて編み立てた、独自の高密度ジャージー生地を特徴としており、老舗ならではの技術と職人技を掛け合わせたウェアを展開している。
2025年春夏シーズンは、メキシコを代表する建築家の1人であるルイス・バラガンの建築「ロス・クルベス(Los Clubes)」から着想。「カネマサ莫大小」の創業と同時期に設計された建築であり、鮮やかなカラーやモダンな形状が特徴だ。建物は乗馬する人の視点からデザインされており、馬が休息をとるための水場「恋人たちの泉」や「サービスゲート」といった実用的な要素が随所に取り入れられている。カネマサフィルの2025年春夏コレクションには、「ロス・クルベス」の色彩や造形の美しさ、機能性を落とし込んだ。
表情豊かなピンクのステンカラーコートやオーバーサイズのブラウス、オレンジのジャンプスーツなど、カラッとした青空に映えるようなカラーのウェアが目を引く。プレーンなホワイトの開襟シャツに深いブルーの製品染めパンツを合わせたり、ゆったりとしたホワイトのワイドパンツにはフレッシュなレモンイエローの半袖シャツを合わせたりと、目に飛び込んでくるように印象的な色彩によってシンプルな装いにアクセントがもたらされている。
散見されるのは、かっちりとした見た目とは裏腹に、軽やかな着心地のウェア。分量感のあるミリタリーコートやセットアップで着用している3つボタンのアンコンジャケットには、編み目をより高密度に仕上げたハイゲージ素材を採用し、軽快な着用感に。塩縮加工による表情豊かな風合いも魅力だ。また、深めのタックを施し、ややフレアシルエットに仕上げたパンツは、ハリがありつつストレッチ性にも優れたボトムス。光沢を備えた上品な佇まいながら、リラクシングな着心地に仕上げている。
春夏の気候にぴったりの涼しげな素材使いにも注目だ。小花柄を散りばめたシャツやジャケット、パンツにはオリジナルジャカード機で編み上げたリネン混のニットサッカー生地を採用。シャリ感のあるタッチと、ほのかな透け感、表面に浮かぶナチュラルな凹凸など、春夏らしく爽やかな質感を楽しめる。また、麻100%のタイプライター生地や、綿とナイロンの混紡素材で仕立てたシャツは、しなやかな落ち感が特徴。生地の特性を生かした緩やかな仕立てで、抜け感のある佇まいを演出してくれる。