「へびつかい座って何だよ!」
「星座かけもちなんですけど...」
「生まれてからずっと乙女座だと思ってたのに今日から獅子座!?」
「これからの人生どうすりゃいいの?」
新星座表のニュースで世界は大混乱! アメリカでは初日検索ワード上位20の10までが新星座関連語に独占され、タトゥー屋さんは「星座とってくれ」の問い合わせに涙目、ツイートは未だにこの話題でもちきりです(日本語、英語)。
ツイートを少し拾ってみますね。
さっそくCNNも「星座が変わった? 1ヶ月分ズレている」という見出しで、天文学者と占星術師の両方の見解を報じました。
「科学には事実を土台にする伝統が昔からある。惑星の位置と人の所業の関係なるもの解釈するのは我々の仕事ではない」とする新星座表発表者のミネソタ・プラネタリウム協会理事パーク・カンクル(Parke Kunkle)氏に対し、人気占いサイト運営者スーザー・ミラー女史はこう反撃しています。
こんなハイプ、信じないことですよ。新説でも発見でもなんでもない。占星術師も何年も何年も何年も前から知ってることですしね。どうか信じてください。私たちも実はその手法は試したことあるんですけど、当たらないんですよね。
「な~るほど。これからは占い両方とも見なきゃだめですね!」と、キャスターはあくまで呑気路線ですね。
CNNブログの方には、「西洋占星術で一般に使われれるのは春分点を起点として12分割するトロピカル方式の黄道12宮なので、今回の恒星が基準のサイデリアル方式の星座と一致しないのは当たり前なので、星座は別に変えなくていいんですよ」と、より詳しい話が出ています。
一方、渦中のパーク・カンクル氏はと言えば...ニュースでいかにも愉快そうに今回の騒ぎの感想を漏らしていますよ。
「ここで話題にしてる地球の地軸の歳差運動は、ぐるっと1周するのに2万6000年かかるんです。何世紀もかけてゆったり変化してきたものなので、発表を境に何かが急に変わるなんてことはない。私の生活も発表前後でなあ~んにも変わってませんよ」
「自分が生まれたとき太陽は水瓶座にありました。でも星占い師がそう言うかどうかは...これまったく別問題でして(ニコニコ)...私は天文学バージョンとりますけどね...」
「私は、みんなに空について語ってもらいたいだけなんです。空を見上げて、あの大空の彼方で何が起こってるんだろう...と思いを馳せてもらいたいのね。だから今回一番嬉しかったのはそこの部分かな」
「また3000年後みんなが集まって調べるとしますよね。すると星座は3つズレてるはずですよ、今占星術師があると言ってる位置からね(ニコニコ)」
占星術が当たるかどうかを占う実験
というわけで12星座、13星座、トロピカル方式、サイデリアル方式等々あることはわかりました。基準が違うことも。一番気になるのは実のところ占星術が当たるかどうか...ですよね。
その参考になるかどうかは「?」ですが、嘘反証をライフワークとするコメディアンのジェイムズ・ランディ(James Randi)が行った非常に興味深い実験があるので共有しておきましょう。「あなたの生まれた場所と時間で専門家に占ってもらった結果です」と言って学生一人ひとりに占い結果を配り、当たってるかどうかを5段階評価してもらう実験です。
ランディ「さあみんな、どれぐらい当たってると思った?」
(0、1で手をあげる人はいない。4、5の高評価の人がほとんど)
ランディ「なるほど。さ、今度はその紙を後ろの人に渡してね」
ランディ「その人の占い結果を読んでみて」
(次第に生徒からざわめきが...)
ランディ「そう、全員同じだったんだよ」
まあ、こんなものかな。
星はひっきょう真空に漂う燃える気体の天球ですからね。なんも支配なんかしちゃいないんですよ。あなたの人生動かす存在でもないんです。あなたのことも、彼女のことも、仕事のことも、妹の結婚式のことも、エンコした車のことも、「嫉妬深いタイプ」かどうかも、てんびん座と相性いいかどうかも、あなたの星座が何座かも、今日が厄日かどうかも、星の知ったこっちゃない。そんなこと星は全く気にしちゃいないんです。だって星はひっきょう真空に漂う燃える気体の天球なのだから。
星は星のことだって気にしちゃいない。怠け者、だらしない、怒りっぽい...というのは当人の問題であって―銀河の問題じゃないんです。
[CNN Blog, StarTribune]関連:12宮(黄道12星座)
写真:NASA Goddard Space Flight Center
Sam Biddle(原文/satomi)