自然の構造をそのまま利用。
このオークの葉には、秘密があります。葉っぱといえば光合成でエネルギーを作り出すことができますが、この葉っぱからは電気を取り出せるんです。だってこの葉っぱ自体が、バッテリーなんです。
ただしこの葉っぱは、木から摘みとったときの状態とは全然別のものに変化しています。華氏1832度(摂氏1000度)で1時間焼いて炭化され、いわゆるカーボンナノ構造体になっています。その網目状の空間を電解質のナトリウムで満たすことで、葉っぱはバッテリーの電極になり、1グラムあたり360mAhを蓄積できます。メリーランド大学・中国国立ナノサイエンス・テクノロジーセンターのHongbian Li氏らによるこの研究は、学術誌Applied Materials and Interfacesで公表されています。
この研究に参加しているFei Shen氏はDaily Mailでこう言っています。
葉っぱの自然の形が、すでにバッテリーの要件にマッチしています。表面積が小さいので不良を低減でき、小さな構造が緊密にまとまっていることで、ナトリウム電解質を使うのに最適な大きさと形の内部構造を最大化できます。
ただもちろん、この葉っぱに直接iPhoneをつないで充電できるわけじゃありません。でも研究チームでは、この技術は大規模なナトリウムイオン電池の開発に応用できるのではないかと期待しています。
今回の実験は、リチウムに代わる電解質としてナトリウムを使う新たな手法の調査のために行われました。ナトリウムはリチウムより安価で効率も良いのですが、それで作るバッテリーの寿命が短くなってしまうことが課題です。そこでこの葉っぱのような炭素素材を使うことで、その問題を解決しようとしてるわけです。自然の中にある構造がバッテリーに生きるなんて、やっぱりいろいろな意味で、自然にはかないませんね。
source: Applied Materials and Interfaces、Daily Mail
Jamie Condliffe-Gizmodo US[原文]
(miho)