中国に続いて今度はイスラエルも参戦です。
2011年に設立されたイスラエルの団体SpaceIL。そして彼らが作った月面探査機「Beresheet」が、SpaceXのファルコン9ロケットによって宇宙へと打ち上げられました。
月面着陸はソ連、アメリカ、中国に続く4番目の偉業ですが、これは国家単位ではなく初めての民間による月面探査機なのです。このミッションの概要が、映像でチェックできるようになっています。まずはこちらをどうぞ。
着陸までの歩み
ファルコン9から離脱するときの速度は3万6,000km/h! そのご9時間かけて、地球の重力により減速しつつ高度6万kmに到達します。しかし地球の周回軌道を飛ぶため、また地球に接近し、19時間かけてその周回を1周。そこから周回軌道の遠心力とロケット・エンジンを使って少しずつ地球から遠い位置へと弾みを付け、月の公転に合わせて月面へと向かいます。
そして月と合流したら、今度は月の周回軌道に乗り、徐々に周回する範囲を狭めて着陸を試みます。
実はタイムカプセル
ヘブライ語で「はじめに」という意味の「Beresheet」を製造したのは、航空機メーカーのIAI(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)。始めはSpaceILが、Google Lunar XPRIZEというコンテストに参加するべく開発されたのがきっかけだったようです。
「Beresheet」には車輪がありません。ですがWikipediaによりますと、低重力の月面を飛び跳ねて、月がどのように形成されたかを理解するべく、写真を撮りつつ磁力計で局所的な磁場を測定するそうです。
またこの探査機はそれ自体がタイムカプセルとなっており、中にはデジタル・データになったWikipediaの全5000万ページ、聖書、子供のお絵描き、ホロコーストの生存者の想い出、イスラエルの国家と国旗と、独立宣言が保存されています。つまり最終的には、未来永劫月面に置き去りにされるってことなんですね。いつの日か、誰かが中身を取り出してデータを閲覧するかもしれません。
打ち上げの様子
ということで、メインはインドネシアの通信衛星「PSN-6」を打ち上げることを目的としたファルコン9が、フロリダのケープ・カナベラルから「Beresheet」も一緒に打ち上げる様子を見てみましょう。
なお今回、動画の24:45頃から見られますが、ブースターの再突入時にこれまでで最も高熱が発生したのだそうです。地上の着陸時には、耐熱シールドからの燃えた金属によるスパークが起こった、とイーロン・マスクがツイートで説明しています。
Highest reentry heating to date. Burning metal sparks from base heat shield visible in landing video. Fourth relight scheduled for April. https://t.co/uq6TdMhgFN
— Elon Musk (@elonmusk) 2019年2月22日
まずは「Beresheet」の着陸を願い、これからどんな情報を送ってくれ、それがどのように宇宙科学に貢献するのか、楽しみにしたいですね。
Source: YouTube (1, 2), Twitter via TESLARATI
Reference: Wikipedia, BBC NEWS