チルネコさん
レビュアー:
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家具は人を幸せにする道具です。けれど良い家具は50年と云わず使い続けられるパートナーにもなり得ます。
イタリアの高級インテリアブランド「カッシーナ」に関する本です。著者はあの俳優の高橋克典(!)ではなく、カッシーナ・イクスシー代表取締役社長(?)なる方が書かれたようです。因みに副題に「モダン ファニチャーと暮らす」とある通りモダンスタイル。
節操なく要約してしまうと「カッシーナはこんなに素晴らしい、カッシーナと共にモダンライフはいかがですか?」という趣旨が主軸となっていました。そこには一度は目にしたことがある不朽の名作の写真やそれらに纏わる逸話や魅力が語られ、シンプルモダンを目指す者にとっては垂涎のページが。
コルビュジエのシェーズロング、マジストレッティのマラルンガ、ジオ・ポンティのスーパーレジェーラ、等、手を伸ばしてるのになかなか届かない名作がズラリ。セクシーで洗練され美しい。それらを著者は芸術作品と位置付けていますが自分も同感です。座り心地の良さと美しいデザインの両立、転じて機能美を実現すること、さらにそれらを大量生産可能にする事の難しさを克服した末の作品群だという事を痛感させられると尚更でした。
意匠権にまで言及しその保護の大切さを切に語られていましたが、それだけ安価な模造品の問題が深刻なのだなとも感じてしまいます。少なくとも自分はちゃんとした正規品を買う、というか欲しいソファはもう数年前から決まってたりもします。
カッシーナの製品を深く掘り下げたり、読者に伝えたいことが曖昧だったりする内容でしたが、インテリア好きを標榜する自分のような白帯にはそれなりに満足のいく本でした。デザイン関連でこの名が出なければ嘘だと言われる谷崎潤一郎『陰翳礼讃』も出てきたので悪くないとも思われます。
おまけに、小泉今日子の部屋が公開されている云々で話題になった雑誌『MEKURU』ですが(全くノーマークの雑誌でした(汗))、彼女の部屋はほぼカッシーナで統一されていて、眩しくて眩しくてページをなかなか捲れませんでした。名のある方は違いますねε-(´∀`; )
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アマチュアヴァイオリニスト。読書もしかり。
特にバロック音楽を聴くわけではないけれど、好ましく思う作曲家はヴィヴァルディ。クラシックや音楽に通じる書籍のレビューを参考にさせていただいてます。
文学では、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ナボコフ、チャンドラー、漱石、康成、直哉がお気に入り。
感銘を受けた書籍は「グレート・ギャッビー」「ロリータ」「ロング・グッドバイ」「山の音」「城の崎にて」
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- 出版社:ダイヤモンド社
- ページ数:174
- ISBN:9784478008812
- 発売日:2009年04月17日
- 価格:1728円
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