KAKAPOさん
レビュアー:
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燃え上がる嫉妬などの渇望は、言葉だけの依頼に乗って凶悪な犯罪に発展してしまう。正義の名を身にまとった使命感も、その真偽を確かめないまま下されれば、冤罪を断罪する私刑になり下がってしまう。
〈輪(サークル)〉に現れた書を守っているという〈万書殿〉。それは、ありとあらゆる情報が集められ堆積しているネットの象徴だろう。今、ネット上に蓄積されたデータは、真偽を問われないままの言葉だけではなく、画像や動画も加えて増殖している。更に、AIの力を借りた本物と見分けがつかないフェイクも加わり人々の渇望を煽り続ける。そして燃え上がる嫉妬などの渇望は、言葉だけの依頼に乗って凶悪な犯罪に発展してしまう。正義の名を身にまとった使命感も、その真偽を確かめないまま下されれば、冤罪を断罪する私刑になり下がってしまう。
宮部みゆきさんが「悲嘆の門」を執筆されていた~2015年頃は、もうリアルとバーチャルとの境目が曖昧になりつつあった時代だと思いますので、ゲームの世界で命を蔑ろにするような行為が、現実の世界に拡散してしまうことを危惧されていたのかもしれませんね。
宮部みゆきさんが「悲嘆の門」を執筆されていた~2015年頃は、もうリアルとバーチャルとの境目が曖昧になりつつあった時代だと思いますので、ゲームの世界で命を蔑ろにするような行為が、現実の世界に拡散してしまうことを危惧されていたのかもしれませんね。
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2013年に登録した時からしばらくは、ミステリー小説などを中心に読んでいましたが、元々、精神分析や心理学、自己啓発書に興味があり、最近は、イノベーションやソーシャルインフルエンス、脳に関する本を中心に読んでいます。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:395
- ISBN:9784101369440
- 発売日:2017年11月29日
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