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poemさん
poem
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読んだ後に少し、胸がギュウとしめつけられて涙がでそうになった本
主人公が執事であります。身近に執事という人がいないので少々忍耐が必要かなと思いつつ読み進める。でも、読んでみたら意外と読めました。それもそうですよね。私が武士でないから主人公に感情移入出来ない、そういった事はないですからねェ。

しかしこの本は1930年前後のイギリス・ヨーロッパの歴史背景が頭に入っていた方が読みやすいですね。ベルサイユ条約とか、ドイツのファシズムの台頭も少し入ってきます。「もういちど読む山川世界史」(2008.8.30発行 株式会社山川出版社)を併読しつつ読みます。

この主人公の主が、イギリスの外交官のような役割をしている方で、そのお屋敷で二代に渡って仕えた執事がこの作品の語り手です。当時の回想も交えつつ、話や時空がいろいろと飛びます。そこにまたそれほど多くはない登場人物の話やら女召使との淡いエトセトラなどが美しいイギリスの風景とともに静かにやさしく織り込まれている、そんな印象ですね。

誰にでもあの時こうしておけばよかった、逆にそうしなければよかった、とか、いろいろ後悔する瞬間はありますよね、確かに。相手の気持ちはわかってたはずなのに、わかっていないそぶりをしてしまったりとか・・・うん、ある、ある。

あるいは、あの時の時間と場所を戻せたらいいのに、それはもうできない、だからその時の切ない瞬間をスローモーションで記憶の中で何度もリピートしてしまう、とか。そういう時間は無駄でどうにもならない時間なんだけど、だれでも持っている、取って取ってもまた出来てしまう感情のかさぶたみたいなものを上手く作品にしていると思いますね。

人間はおろかになろうなんて誰も思っていないけれども、後から思い返してみると、あのときの自分はおろかだったな、とか。

そういうことを少し思い出したら、読んだ後に少し、胸がギュウとしめつけられて涙がでそうになった本、でした。
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poem
poem さん本が好き!1級(書評数:56 件)

旅と文学と美術をこよなくあいするアラフィフです。大学では国文学の近代文学を専攻。出会える人の数・場所・時代は限られているけど、本たちとの出会いは無限に!って所が好きですね。今年の目標は、ゆっくり本を読むこと。

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