依然としてシェア率ではトップを走るInternet Explorer(IE)だが、近年はFirefoxなどに追い上げられ、シェアを落としているというデータもある。そのような状況でリリースされたIE 8 beta 2について、マイクロソフトの発表会で話を聞いてきた。
6月12日にはOpera 9.5が、6月17日にはFirefox 3がリリースされ、再びにぎやかになってきたWebブラウザ業界。依然としてシェア率トップを走るInternet Explorer(IE)だが、好調のFirefoxなどに追い上げられ、近年はシェアを落としているというデータもある。
そんな状況の中、8月27日にリリースされたIE 8 beta 2。前バージョンと比べてどのような点が変更されたのか、8月28日に行われたマイクロソフトの発表会で話を聞いてきた。
マイクロソフト ビジネスWindows本部の中川哲本部長によれば、IE 8 beta 2の特徴は「速い」「便利」「安心」の3ポイントにまとめられるという。
処理速度が向上した主な理由としては2点が挙げられる。1つはHTMLの解析を高速化した点だ。IE 6やIE 7は、HTMLを読み込む際にスクリプトがあると、そのスクリプトの読み込みが終わるまでHTMLの解析を始められなかった。IE 8ではHTMLとスクリプトを別個に解析し、それぞれを合わせてレンダリングを開始するよう仕様を変更した。
もう1つはJavaScriptの処理速度を高速化した点で、JavaScriptのベンチマークソフト「SunSpider」による計測では、IE 6の約7倍、IE 7の約5倍の処理速度を記録したという。ビジネスWindows本部の原田英典シニアプロダクトマネージャは、「Ajaxなどの技術を利用した複雑なWebページが増えている中で、この速度の差は非常に有効だと考えている」とした。
機能面では、ブラウジング中のページ遷移回数を抑え、「できる限り少ないクリックでたくさんの情報を表示する」(原田氏)ことを目指した。
「アクセラレータ機能」は、ページ内の文字列をドラッグした際に青いアイコンを表示し、このアイコンから単語検索や関連情報の表示などが行える。「WebSlices」は、文字通りWebページの1部をフィードとして“切り取る”機能で、ページ中のWebSlicesに対応した部分にポインタを合わせると、緑色のアイコンを表示する。このアイコンから「追加」を選んでお気に入りバーに登録すると、該当部分の情報を取得して、ページを開くことなく更新情報を確認できる。なお、アクセラレータとWebSlicesは、これらの機能に対応したWebコンテンツを閲覧しているときのみ利用できる。
このほか、検索バーは入力した文字列をインクリメンタルサーチして、検索結果をページ遷移なしでポップアップ表示するようになり、アドレスバーから履歴やお気に入りデータの検索を行ったり、「新しいタブ」のページから最近閉じたページを開く機能も搭載した。
安心してブラウジングを行うためのセキュリティ機能も強化した。PCにCookie、履歴、キャッシュなどの閲覧情報を残さずにブラウジングできる「InPrivate機能」を搭載。インターネットカフェなどからネット銀行を利用したり、「恋人には内緒で、ダイヤの指輪の情報を検索するときにも便利」(原田氏)。
「自動クラッシュ復元機能」は、問題の発生したタブのみを終了し、ブラウザ自体の強制終了を防ぐ機能。また、フィッシング詐欺やマルウェアの危険があるURLリストに合致したページからダウンロードを行う際に、警告ダイアログを表示したり、改ざんされた銀行サイトなどから情報をほかのページに送信するクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃を防ぐフィルターもデフォルトでオンの設定になっている。
さまざまな新機能を搭載するとともに、標準対応や互換性に関しても見直しを図り、さらなるシェアの上昇を狙っていく考えのマイクロソフト。中川氏は正式版のリリース時期に関しては明言を避け、ユーザーの評価や反応を見ながら決めていきたいとした。
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